2007年8月19日(日)「しんぶん赤旗」

戦略爆撃機常時パトロール

ロシア、15年ぶり再開


 ロシアのプーチン大統領は十七日、チェリャビンスク州で行われていた上海協力機構(SCO)の合同軍事演習を視察後、同行記者団に戦略爆撃機の常時パトロール飛行を再開することを明らかにしました。

 戦略爆撃機の常時パトロールは十五年ぶり。米国のミサイル防衛(MD)の欧州配備など米国の軍事戦略に対抗するものとみられます。プーチン大統領は「ロシアは一九九二年以来、戦略爆撃機の常時パトロール飛行を中止したが、他国の戦略爆撃機のパトロールは続いており、ロシアの安全保障に一定の問題をもたらしている」と述べました。

 同大統領によると、ロシア各地の七つの飛行場から戦略爆撃機十四機が十七日に飛び立ち、パトロールを開始しました。プーチン大統領は常時、空中給油機を含め二十機ほどがパトロールに参加すると述べました。

 ロシアからの報道によると、十七日、長距離戦略爆撃機ツボレフ160とツボレフ95が大西洋、太平洋上をパトロール飛行。北大西洋条約機構(NATO)側の戦闘機がスクランブルをかけ、監視しました。

 プーチン大統領の米国の軍事戦略批判は、米国のチェコ、ポーランドへのミサイル防衛システム配備の決定を受け、強まりました。二月十日にはドイツの安全保障会議で米国の戦略を「一極世界の思考を導入しようと試み」「一方的でしばしば不法な行動は問題を一つも解決をしない」と批判し、「このような政策は軍拡競争の促進剤となる」と警告しました。

 ロシア戦略ミサイル軍のソロツォフ司令官は欧州のMD施設を標的とする新型中距離ミサイルの配備は可能だと語っています。ロシアはまた、NATOに旧東欧諸国やバルト三国が加入し、ウクライナやグルジアまでが参加を希望していることも警戒しています。(片岡正明)


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