2007年8月18日(土)「しんぶん赤旗」

郵政「造反」組復党 改憲のためと証言

塩川元財務相


 安倍晋三首相が昨年暮れ、二〇〇五年総選挙で郵政民営化法案に反対票を投じ除名された郵政「造反」議員十一人を自民党へ復党させる決定を急いだのは改憲発議のための議席を確保したいためだった――塩川正十郎元財務相が復党劇の狙いを今年五月十六日に東京都内で開かれた政治ジャーナリストの会合で語っていました。八月上旬まとまった同会合の講演録で明らかになりました。

 講演録によると塩川氏は郵政造反組の復党問題に触れて「安倍氏の考えは、憲法改正第一であり、郵政問題はとっくに済んだ話、数を増やす方が大事だった」と述べ、安倍首相が復党を承認した背景を説明しました。

 衆院の自民党勢力は復党組を加えて昨年十二月時点で三百五議席に増えました。

 塩川氏は、さらに「安倍氏は憲法(改正)をにらんでいるから、改正に必要な三分の二(以上の議席の確保)をめざす。あと無所属議員など若干引き入れると(衆院で三分の二を超す)三百二十議席に達する。となると安倍氏の手で改憲が政治日程に入ってくる」と補足しました。

 復党議員のなかには、安倍首相と親しく、改憲志向で立場を同じくする古屋圭司議員(日本会議系の新憲法制定促進委員会準備会座長)らが含まれていました。安倍首相が復党決定を党執行部へ促した理由について、当時はもっぱら今年七月の参院選向けの選挙対策と見られていました。改憲を第一の視野に入れて安倍首相が復党を急がせたとの塩川元財務相の証言は安倍首相の改憲への執念を改めて示すものです。

 ただ先の参院選で自民党は惨敗を喫し、参院第二党へ転落。同院で三分の二どころか過半数を大きく下回り、安倍首相の思惑は外れました。



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