2007年8月17日(金)「しんぶん赤旗」
印パ、初の合同世論調査
地域で帰属意識に差
カシミール
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【ニューデリー=豊田栄光】インドとパキスタンのメディアと調査会社が、両国の領土紛争の地カシミール地方の帰属に関する合同世論調査を初めて実施し、インディアン・エクスプレス紙十三日付が結果を掲載しました。それぞれの地域の住民の考え方に大きな差があることが浮き彫りになっています。
世論調査は七月最終週と八月第一週に実施されました。インド側は二千三十人、パキスタン側は千十人です。
パキスタン側住民の間では、「パキスタン帰属」が48%と「カシミール独立」が47%で伯仲したのに対して、インド側では「インド帰属」が67%と過半数を上回り、「独立」は15%でした。
これとは別にインド側の都市スリナガル住民二百二十六人と、同じくインド側のジャム住民二百五十五人を対象とした調査も行われ、住民間の意識の落差が注目されました。スリナガルでは「独立」87%に対して、「インド帰属」はわずか7%。ジャムは正反対で「独立」3%に対して、「インド帰属」は95%に達しました。
インド側カシミールはジャム・カシミール州とされ、夏季はスリナガルが、冬季はジャムが州都です。ジャムで「インド帰属」が圧倒的多数を占めた背景には、ヒンディー語(インドの公用語)話者が多いことが考えられます。
スリナガルはウルドゥー語話者が多く、イスラム過激派の掃討作戦を展開するインド国軍と住民との間でトラブルが続発し、軍へのテロ攻撃、軍による住民殺害が後を絶ちません。軍への反発が「独立」志向を強めているものとみられます。


