2007年8月11日(土)「しんぶん赤旗」
鼓動
ガトームソン薬物違反
プロ野球初 20日間の出場停止に
不徹底だった啓もう活動
日本プロ野球組織(NPB)は10日、ソフトバンクのリック・ガトームソン投手(30)がドーピング(禁止薬物使用)検査で禁止物質のフィナステリドに陽性反応を示したため、同日から20日間の出場停止処分と、球団に対して制裁金750万円の処分を科すと発表しました。
NPBの医事委員会が作成したアンチ・ドーピングガイドでは、フィナステリドが世界反ドーピング機関(WADA)の定めた禁止薬物であることを明記しています。
NPBは昨季107選手に検査を実施するなど反ドーピングへの啓蒙(けいもう)を図ったといいます。今春には、全キャンプ地でコミッショナー事務局が説明会を開き、外国人も含めた全選手にスライドを見せて、飲む発毛剤への注意を呼び掛けました。
それでも、ガトームソン投手は禁止薬物だとは知らずに、ずっと服用を続け、トレーナーにも申告していました。球団や選手レベルでは薬物への警戒がほとんどなかった実態が、今回の事件で明らかになったのです。
ドーピングとのたたかいには、スポーツの価値と信頼を守る意識を高めることが欠かせません。いかに一人ひとりの自覚を高めるかに、ことの成否がかかっています。球団やNPBは当該球団だけの問題ととらえず、すべての球団、選手がどれだけ反ドーピングを意識してきたかを再点検し、二度と違反者を出さないよう啓蒙活動をいっそう強めるべきでしょう。(青山俊明)

