2007年8月10日(金)「しんぶん赤旗」

原油・原材料価格の上昇

苦しむ中小企業

9割以上が転嫁困難


 本紙既報のように、経済産業省が七日発表した原油価格・原材料価格上昇の影響調査結果によると、大企業と比べ中小企業により深刻な影響が出ています。中小企業庁が二十五業種千百五十七社の中小企業を対象に七月に実施した調査の結果をさらに詳しくみてみます。


収益圧迫が急増

 原油・石油製品について、仕入れ価格が最近三カ月の間に「上昇している」と回答した企業は九割を超えています。今後とも「上昇する」と見込む企業も約九割にのぼります。

 価格上昇が収益を「圧迫している」企業は前回調査(二〇〇六年九月)の76・7%からさらに増え、89・7%になりました。業種別にみると、建設、食料品、繊維染色、化学、石油製品、プラスチック製品、ゴム製品、窯業・土石製品、非鉄金属、輸送用機械器具、運輸、クリーニング、自動車整備業などでは、九割以上の企業が収益の圧迫を訴えています。

 価格上昇分を販売価格へ20%以下しか転嫁できない企業は86・6%(うち、まったく転嫁できないは59・0%)と依然として高水準です。九割以上(94・8%)の企業が今後とも転嫁は困難と感じています。

著しく高騰6割

 今回はじめて原材料全般(原油・石油製品以外)の価格上昇の影響について調査しました。それによると、自社で使用する主要原材料の全部または一部の仕入れ価格が前年に比べ「高騰している」と回答した企業は約95%でした。原材料別にみると、銅、亜鉛、ニッケル、アルミなど非鉄金属を主要原料として使用している企業のうち、「著しく高騰している」企業が六割を超えています。

 収益への影響では、「大きく圧迫している」(35・9%)、「やや圧迫している」(52・1%)をあわせると88・0%にのぼります。

 原材料のコスト上昇分を販売価格へ20%以下しか転嫁できない企業は71・9%(うち、まったく転嫁できないは40・6%)。九割以上(90・7%)の企業が今後とも転嫁が困難と感じています。

買いたたき警戒

 中小企業に価格転嫁が困難な企業が多いことについて、中小企業庁では「大企業も厳しい価格競争にさらされているが、中小企業の場合、納入先が(特定の)大企業になるなど、販路が限定され、価格交渉が不利になっているケースが多いのではないか」(担当者)とみています。このため、中小企業庁では、「買いたたき」などの違法行為をなくすため、下請代金法の順守や下請中小企業振興法にもとづく振興基準の周知を図るよう関係事業団体に要請することにしています。

グラフ

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