2007年8月8日(水)「しんぶん赤旗」
ロビイスト規制法可決
米議会 「政治とカネ」批判受け
【ワシントン=山崎伸治】米議会は夏期休暇入りを前に、ロビイストの活動を制限する法案を上下両院とも圧倒的多数の賛成で可決しました。昨年、大物ロビイスト逮捕事件がワシントンの政界を揺るがすなど、政治と金をめぐる問題で国民の批判が高まり、民主、共和両党ともこの問題での「真剣さ」を強調していました。金権腐敗を追及してきた民間組織も今回の動きを一定評価しています。
下院での修正を受けて成立した法案は、ロビイストに対し、議員の選挙活動資金を提供した際には報告を義務付けるとともに、ロビイストからの贈り物や無料の旅行の提供などを禁止しています。
さらに議員に対しては、「イヤーマーク」と呼ばれる利益誘導型の支出を予算に盛り込む際には公開を義務付け、選挙資金提供者への見返りを規制しています。
下院は七月三十一日、賛成四百十一、反対八の圧倒的多数で可決。すでに一月に可決していた上院も八月二日、下院で修正された法案を賛成八十三、反対十四の圧倒的多数で可決しました。
政治と金をめぐる問題は、議会でこれまでも議論されながら、なかなか抜本的な解決に至ってきませんでした。
昨年、大物ロビイスト、エイブラモフ被告が接待や献金によって議員に特定の政策の実現を働きかけていたことが問題となり、同被告と関係の深かった共和党のディレー元院内総務が辞職。同党のカニンガム下院議員、ネイ下院議員らが相次いで収賄の罪に問われました。
そうしたなか、上院は昨年四月にロビイスト規制法案を可決しましたが、直後から実効性がないと批判されました。今回の法案については、金権腐敗を告発してきた民間組織からも「歴史的な法律」(パブリックシティズン)と歓迎する声が上がっています。
「デモクラシー21」のフレッド・ワートハイマー代表は二日、「ロビイストが議員に影響を与えるさまざまな方法について、包括的な情報が初めて国民に明らかになる」との声明を発表。三日には六団体が共同で、ブッシュ大統領に対し、法案に署名するよう求めました。
一方、「責任と倫理を求める市民」(CREW)のスローン事務局長は「政治倫理をめぐる申し立てに責任を負って調査する外部の機関が必要だ」と法律の実効性を裏付ける措置を求めています。
ロビイスト 特定の利益団体に有利な政治的決定を行わせるため、政党や議員や官僚に働きかけることを専門とする人のことをいいます。ロビー(政治家の控室)で活躍する者という意味です。米国では一九四六年に制定された連邦ロビイング法により、ロビイストとして登録をする必要があります。しばしば汚職の温床となっているとの指摘が行われています。

