2007年8月1日(水)「しんぶん赤旗」

「改憲手続き法」で、運動規制されるの?


 〈問い〉 「改憲手続き法」は、公務員や教育者の国民投票運動を規制しているそうですが、今後、憲法改悪反対の宣伝や署名などの運動はできないのですか?(岡山・一読者)

 〈答え〉 成立した「改憲手続き法」は、公務員、教育者を「…その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は、便益を利用して、国民投票運動をすることができない」(第103条)として、基準が不明確な「地位利用」を口実に、これらの人たちの運動に制限を加えています。このような規制の対象となるのは、国民投票の対象として国会で発議された「改憲案」に対する運動です。

 だから、発議されるまでは、なんら規制を受ける対象とはならず、憲法改悪反対の運動を大いに展開できます。

 日本共産党は、本来、自由であるべき国民投票運動が、500万人にものぼる公務員・教育者の活動の自由を奪い、国民にたいして重大な抑圧・萎縮効果をもたらすものであり、不公正で反民主的な内容だと批判してきました。

 「改憲手続き法」は、公務員法上の「政治的行為の禁止」という制限を準用する一方で、付則では公務員の「賛否の勧誘」や「意見表明」が制限されないよう3年間で検討することになっています。

 こうした点などについて、日本共産党の仁比聡平参院議員は、公務員法上で禁止されているのは、法や規則で列挙された政治行為だけで、国民投票運動が国家公務員法と人事院規則で禁止される政治的行為にはあたらないと指摘し、国家公務員は自由に運動できることを認めさせています。地方公務員については、規制対象から国民投票運動を除外するよう法律を変えることを答弁で確認させました。

 また、「地位利用」の対象の問題では、公選法上の「地位利用」に関する、「教育者が単にその教育者としての社会的信頼を利用した場合」は「問題の余地はない」(福岡高裁1975年5月27日判決)という判例を示し、直接職務と関係したり、職権を乱用するような行為以外は、公選法上で自由とされているものを国民投票運動で規制することはないことを認めさせています。

 自民党は、参院選挙政策で「2010年の憲法改正案の発議めざし、新憲法制定の国民運動を展開する」としています。

 憲法改悪反対の多数派を結集するために、運動をひろげていくことがますます大切になっています。(竹)

 〔2007・8・1(水)〕


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