2007年7月27日(金)「しんぶん赤旗」

生活保護

安易な抑制 規制を

全国会議など11団体 政府に質問状


 北九州市小倉北区で五十二歳の男性が死後一カ月して餓死状態で発見された事件に関して二十六日、生活保護問題対策全国会議はじめ十一団体が連名で柳沢伯夫厚生労働相らに対し、「安易な保護廃止を規制するため」の考えなどを問う公開質問状をだしました。


 提出後、記者会見した生活保護問題対策全国会議副代表幹事、竹下義樹弁護士は「命を守るべき生活保護が誤った運用によって北九州に限らず人々の命を奪っている。厚生労働省は、これを容認している。見過ごすことはできないと公開質問状をだすにいたった」と述べました。

 反貧困ネットワーク準備会代表の宇都宮健児弁護士は「本来、生活保護をうけてしかるべき世帯が四百万はいる。行政は、そういう人たちのところに出向いて相談にのり生活保護を適用すべきだが、逆のことをしている。北九州での事件は行政による殺人事件に近い。糾弾したい」と行政のありかたを批判しました。

 餓死状態で発見された男性は、小倉北区福祉事務所によって「辞退届」があったとして収入もないのに開始からわずか三カ月で生活保護を廃止されていました。

 公開質問状は、「辞退届」が福祉事務所による違法な保護打ちきりを合法化するためにこれまでも各地で悪用されていると指摘。保護受給権の侵害は許されないとして、辞退を理由にした安易な保護廃止を規制するための考え、悲劇を繰り返さないために「辞退届」などを理由に保護を廃止された人のその後の生活実態の調査をすみやかにすべきであり、その実施通知を全国の自治体にだす予定はないか―など八項目にわたって質問、八月二十日を期限に回答するように求めています。

 公開質問状をだした団体は、生活保護問題対策全国会議のほかに北九州市生活保護問題全国調査団、全国生活保護裁判連絡会、首都圏生活保護支援法律家ネットワーク、全国生活と健康を守る会連合会などです。

北九州市にも質問状を提出

 生活保護問題対策全国会議など十一団体は同日、北九州市に対し、公開質問状を出しました。

 質問状は、再発防止策の策定や辞退を理由に保護を廃止した全ケースの検証などを要望。さらに、亡くなった男性の生活状況、稼働能力、傷病・治療経緯などと合わせ、市側の就労指導、保護廃止決定の判断状況などについて十一項目を質問。八月二十日を期限に回答を求めています。

 質問状を提出した尾藤廣喜代表幹事は、「(小倉北区での孤独死事件は)生活保護法の運用において重大な問題があると考えられる。現場での生活保護行政のあり方を早急に改めなければ、再び同様の事件が起こりえる」と指摘。市の担当者の認識の改善を含めて早急な対応をとるよう重ねて要望しました。

 応対した同市秘書室の担当者は、「質問状の内容および口頭での質問について、ご回答できるよう報告する」と答えました。



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