2007年7月24日(火)「しんぶん赤旗」

日本経済“浮上” その現実

賃金マイナス

倒産5千件超

非正規雇用増


 自民党は参院選で「この五年半、痛みに耐えてようやく日本経済は浮上した」(中川秀直幹事長、二十二日・名古屋市)などと宣伝しています。しかし、痛みを押し付けられてきた国民の状態は、依然として悪化しているのが現実です。

 大企業ばかりを優遇する自民党政治のもと、企業の経常利益は一九九八年度の二十一・二兆円から二〇〇五年度には五十一・七兆円へと二・四倍以上に急増。労働者の賃金などの雇用者報酬は逆に、九七年度の二百八十兆円から〇六年度には二百六十三兆円に減少してきました。

 〇六年九月に安倍・自公政権が発足してからも、この傾向に変わりはありません。大企業の多くが過去最高益を達成しているのに、物価を考慮した労働者の実質賃金は、〇六年七月から〇七年五月まで十一カ月連続で前年同月比マイナスとなっています(厚生労働省・毎月勤労統計調査五月分確報)。

 企業倒産件数も〇六年上半期の四千六百二十五件から〇七年上半期には五千三百九十四件に増加。「不況型倒産」が76・4%を占め、中小・零細企業の倒産が増加し続けています(帝国データバンク倒産集計)。

 雇用についても、安倍晋三首相は安定した雇用を増やしたと“自慢”していますが、現状は逆です。〇七年一―三月期で、派遣など非正規から正社員になった人は三十一万人です。ところが、正社員から非正規になった人が四十三万人と十二万人上回っています。

 非正規雇用者は、〇六年四―六月期から〇七年一―三月期に七十九万人も増加し、雇用者全体に占める比率は過去最高の33・7%に達しています(総務省「労働力調査」)。

 非正規労働者は、年収百五十万円から二百万円ぐらいの人が圧倒的です。「日本経済が浮上した」などというのはあまりにも非正規労働者や中小・零細企業のおかれている現実から目を背け、大企業の「浮上」のことしか頭にない議論です。(吉川方人)

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