2007年7月22日(日)「しんぶん赤旗」
テロ容疑者
ジュネーブ条約適用
米大統領令 拷問禁止、詳細は不明
【ワシントン=鎌塚由美】ブッシュ米大統領は二十日、対テロ戦争の一環で米中央情報局(CIA)が海外で拘束したテロ容疑者に対し、ジュネーブ条約を適用するとの大統領令に署名しました。
CIAの拘束者への尋問について、ブッシュ政権は「拷問は容認しない」と主張してきました。しかし、仰向けにした拘束者の顔に水をかけるなどの拷問行為を公に非難せず、拘束者への拷問が国際的にも非難されてきました。
今回の大統領令は、CIAが拘束者に「適切な食事と水、シェルター、衣類、極度の暑さや寒さからの保護、基本的な治療」を与えることを命じたほか、「拷問」「レイプ」「宗教をおとしめる行為」などを禁止しました。しかし、具体的な禁止内容の明記はありません。
人権団体は、尋問に関する政策文書が依然として極秘扱いされていることを指摘し、今回の大統領令が順守される保証はないと懐疑の目を向けています。
「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」のジョアン・マリナー氏は、「国際法や国際基準に照らしても、CIAの(テロ容疑者拘束)プログラムそのものが違法」だと厳しく指摘しました。
ブッシュ政権は、テロ容疑者を海外の「秘密収容所」に拘束した後、キューバのグアンタナモ米軍基地に移送。「不法な敵性戦闘員」という分類をつくり、ジュネーブ条約の対象外として拘束してきました。

