2007年7月15日(日)「しんぶん赤旗」

米・ロは核削減を

英国前外相が主張

廃絶へ 国際的努力訴え


 【ロンドン=岡崎衆史】英ブラウン新政権の核政策に注目が集まっています。新内閣発足とともに外相を退いたベケット氏が在職時の先月二十五日、米ワシントンで行った演説がきっかけです。ブラウン氏の事前承認済みとされる演説で、ベケット氏は、米国とロシアに大幅な核兵器削減を求めるとともに、核兵器廃絶に向けた国際的な取り組みの強化を訴えました。反核団体は演説を歓迎するとともに、具体的行動で実現を目指すよう求めています。


 ベケット前外相は、キッシンジャー元国務長官ら四人の米政府高官の一月発表の論文や、アナン前国連事務総長の昨年の発言で、核保有国が軍縮の約束を放棄したと他の国がみなせば、核不拡散の努力は危険なほど損なわれると指摘していることを紹介。

 にもかかわらず、多くの国は核保有国の軍縮努力が停滞していると感じており、「停滞は十分現実に存在する」と述べ、核保有国の軍縮努力の怠慢が核不拡散体制を危うくしているとの危機感を示しました。

96%保有

 ベケット氏は特に、「世界にはいまだに二万発の核弾頭が存在し、米国とロシアがその約96%を保有している」「その数の核弾頭が国際安全保障を維持するために必要と考える者は、政治家であろうと、軍事戦略家や科学者であろうとほとんどいない」と述べ、米ロ両国に「さらなる相当数の(核兵器)削減」を求めました。

 また、米国など包括的核実験禁止条約(CTBT)の未批准国に対して批准を要求しました。

 一方、ベケット氏は、「安全で予想可能な世界の政治的流れ」が確立していないとして、英国が核兵器システムを二〇二〇年以降も維持すると決定したことを正当化。しかし、これは「核兵器廃絶が将来も不可能とあきらめることを意味しない」と強調しました。

 その上で、同氏は、核保有国間で核軍縮のための関係を構築し、核兵器が必要ない世界づくりのために紛争解決に努力し、紛争防止のため通常兵器売買を国際的に規制するなどの必要性を強調し、英国は「軍縮のための実験室となる」と宣言しました。

首相承認

 英国メディアは、政府当局者の話として、ベケット氏の演説がブラウン氏の事前承認済みと伝えています。

 演説について、英国の反核団体、核軍縮運動(CND)のハドソン議長は六月二十六日、「ブラウン氏による多国間軍縮への強い支持は極めて重要だ」と歓迎。同時に「必要なのは具体的措置だ」として、軍縮を促すためにも、英国が核先制攻撃や非核保有国への核攻撃政策を放棄するよう求めました。



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