2007年7月12日(木)「しんぶん赤旗」

生活保護打ち切られ

北九州で男性孤独死

日記に就労指導の不満記す


 福岡県北九州市小倉北区に住む男性(52)が、今年四月に生活保護を打ち切られ、孤独死していたことが十一日、わかりました。孤独死した男性は今月十日、自宅で一部ミイラ化した姿で見つかっていました。男性の日記には、生活保護の打ち切りや市による就労指導に対する不満が複数記されていたといいます。


 市などによると、男性は昨年十月までタクシー運転手として働いていましたが、糖尿病やアルコール性肝障害のため仕事を辞め、昨年十二月七日に福祉事務所に生活保護を申請。自宅は電気、水道も止められており福祉事務所は昨年十二月二十六日から生活保護の支給を開始していました。

 今年に入り福祉事務所は、「(この男性の病気を診察した医者が)軽就労は可能との診断を下した」として、男性に就労を指導。「男性本人が働く意思を示した」として、今年四月十日付で生活保護を打ち切りました。

 ところが、男性は生活保護打ち切り後も仕事に就けず自宅で死亡。死後一カ月が経過したとみられる状態で発見されました。

 事件の一報を受けこの男性宅に向かった日本共産党の大石正信北九州市議は、近隣の人たちの話として、その男性は亡くなる直前「寝たきりで、見るからにやせこけて土色の顔をして、食べるものもない様子だった」「道端の草を食べて飢えをしのいでいた」といいます。

 男性が記していた日記からは、「働けないのに働けといわれた」とする趣旨の言葉が複数見つかっているといわれ、行き過ぎた就労指導が死に追いやった可能性があります。

 十一日、北九州市役所で記者会見した同市小倉北区役所の菊本誓参事は「亡くなった男性の生活保護の打ち切りは本人の納得に基づくもので、行政上の問題があったとは考えていない」とコメント。同市の就労指導についても「問題はない」と話しています。

 北九州市では、昨年五月に門司区で、電気、水道、ガスのライフラインをすべて止められた身体障害者の男性(56)が二度も生活保護受給を求めたにもかかわらず、申請書すらもらえず餓死した事件が発生。同市では検証委員会を立ち上げ、同市の生活保護行政の問題を検証中です。

異常な生活保護行政

 大石市議の談話 今回の事件は、市の就労指導が本人の健康状態や意思を無視して行われていたといえます。昨年の門司区の餓死事件につづき、異常な生活保護行政が新たな犠牲者を出したと断ぜざるをえません。北九州市の異常な生活保護行政は“闇の北九州方式”として、社会問題になっています。日本共産党は、一貫して生活保護の改善を市に迫ってきましたが、今回の事件の真相解明を求め、生活保護行政の対応を根本的に改めるよう運動をつよめたい。



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