2007年7月12日(木)「しんぶん赤旗」

イチローＭＶＰ

大リーグ球宴初ランニング本塁打

　【サンフランシスコ＝山崎伸治】米大リーグの第７８回オールスター戦が１０日、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地ＡＴ＆Ｔパークで行われ、マリナーズのイチロー外野手がオールスター史上初のランニングホームランを打ちました。これを含む３打数３安打２打点の大活躍で、日本人選手として初めて最優秀選手（ＭＶＰ）に選ばれました。

　イチロー選手はアメリカンリーグの１番センターで先発。プレーボール直後の第１打席は右前打。三回の第２打席は外角低めの球を流し打ちで左前に落としました。第３打席は五回１死１塁の場面、今度は内角低めの初球を強打。右翼フェンスを直撃したボールが、待ち受ける右翼手と反対の方向に転がる間に、俊足を飛ばして一気にホームを駆け抜けました。

「初記録」はやはり この人

　やはりこの人がやりました。いや、この人でなければできなかったかもしれません。大リーグ・オールスター戦に７年連続出場のイチロー選手が史上初のランニングホームランを記録し、日本人初のオールスター最優秀選手に選ばれました。

　わずか１６秒でダイヤモンドを駆け抜けたプレー。「初記録」を達成できる選手は一人しかいません。イチロー選手はそれを２つ手にしました。球場に足を運んだ４万４千人のファンの記憶にも、その姿は強烈に焼きついたことでしょう。

　今回のオールスター戦、日本勢の出場は２００３年に並び最多の３人でした。しかし、ファンに日本の新聞だと名乗って声をかけると、ほとんどの人から「イチローはいいねえ」という声が返ってきました。

　地元ジャイアンツ・ファンのビクター・クエトーさん（４８）は「イチローには他の選手とは違う技能がある。米国人の選手はパワーだけだが、イチローのあのスピードはすばらしい」と絶賛。日本人選手の活躍には「野球というスポーツがグローバルなものになったということだ。優れた選手にはどんどん来てほしい」と言います。

　野茂英雄投手の大リーグ初登板試合を見たという、サンフランシスコのアン・ジャンパオリさんもイチロー選手の人気には驚いています。「マリナーズの試合を見にいったら、後ろに座っていた女の子が最初から最後まで『イチロー、イチロー』って応援してたのよ」と話してくれました。

　いまや日本人選手が大リーグで占める位置は、けっして小さくはありません。オールスター戦でのイチロー選手の活躍は、そのことを証明するに余りあるものだったと言えるでしょう。（サンフランシスコ＝山崎伸治）