2007年7月5日(木)「しんぶん赤旗」

原発廃止方針を確認

20年までにCO2 20%削減も

独首相


 【ベルリン=中村美弥子】ドイツのメルケル首相は三日、同国の中・長期的なエネルギー政策を協議する政財間会合をベルリンで開き、原子力発電の二〇二〇年までの廃止計画に変更はないと明言しました。また、エネルギー効率の向上と風力や太陽光など再生可能エネルギーの供給量の引き上げを通じて、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO 2)排出量を二〇年までに一九九〇年比で20%削減する方針を示しました。

 会合には、ガブリエル環境相、グロス経済技術相ら政府閣僚と電力会社の代表、消費者団体の代表らが出席。原子力発電の将来性について電力会社は、原発は安価で安全なエネルギー供給源だとして、原発廃止計画の延期を要求しました。

 電力会社が批判しているのは、シュレーダー前政権下で合意され法制化された原発の廃止政策で、二〇年までに国内に十七基ある原発を段階的に閉鎖する計画。〇五年十一月に結ばれたキリスト教民主・社会同盟と社会民主党の連立政権合意で再確認されています。

 環境相は原発の代替として再生可能エネルギーの拡大に力を入れていくべきだと主張。メルケル首相は会合後の会見で、「政府は産業界に対し、(原子力発電の段階的廃止についての)連立政権合意を変更する意思がないことをはっきりと伝えた」と語りました。

 首相はまた、気候変動が起きていることは科学によって疑う余地なく証明されていると指摘。CO 2排出量の削減目標について、「最も意欲的な目標に取り組む覚悟をした」と述べ、他国が削減努力に加われば、ドイツの目標を20%から30―40%に引き上げると表明しました。

 エネルギー政策をめぐる政財間会合は昨年四月に一回目がもたれ、今回は三回目。これまでの会合の成果をもとに、政府は二〇年までの行動計画として法制化を目指します。法案は今秋中にまとめられる予定です。


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