2007年7月3日(火)「しんぶん赤旗」

久間氏発言

首相、「注意」のみ


 久間章生防衛相が日本への原爆投下を「しょうがない」と発言した問題で、安倍晋三首相は二日、首相官邸で同氏と会談し、「長崎、広島の被爆者の気持ちを傷つけることがあってはならない。誤解を与える発言は厳に慎んでもらいたい」と注意しました。

 会談で久間氏は、「大変誤解を与える発言で特に被爆者に申し訳なく、撤回しておわびする。内閣にも迷惑をかけた」と陳謝しました。安倍首相は「日本は唯一の被爆国で大変な被害を受けた。日本の目指すべきは核の廃絶、軍縮であり、その責任を果たしていかなければならない」と語りました。

罷免要求に久間氏「よくあること」

 久間章生防衛相は二日、野党の罷免要求を「よくあることだ」と記者団に受け流しました。

 日本共産党の市田忠義書記局長は同日の記者会見で「まったく反省していないことの表れだ。聞き流しておけというのと同じ意味だ」と批判しました。


解説

首相がなすべきは久間氏の大臣罷免

 首相としては、参院選を控え、これで幕引きを図る狙いがあるとみられますが、今回の発言は通り一遍の注意で幕引きできる問題ではありません。

 発言について両氏とも、「誤解を与える発言」だったとして片付けようとしています。しかし久間発言は、原爆投下で「戦争が終わった」のだから「しょうがない」という明確な主張をもったものであり、「誤解」の余地はありません。

 同氏の論理によれば、過去の核戦争が仕方なかったというだけでなく、将来起こりうる核戦争についても、何らかの目的を達成するものなら「しょうがない」として正当化されることになります。核兵器の使用は、どんな状況でも許されるべきではありません。

 今回の発言は、「唯一の被爆国」として核兵器廃絶の先頭に立つべき国の安全保障政策に直接の責任を負う閣僚として、あまりに無責任であり、許容しえないものです。ところが、これだけ重大な発言に対し安倍首相は当初、「米国の考え方について紹介したと承知している」(三十日)と述べ、問題視しない立場をとりました。

 日本は「核の廃絶」への「責任を果たしていかなければならない」と言うのなら、安倍首相が第一になすべきは、久間氏の罷免です。(坂口明)



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