2007年7月2日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

住民税、国保料

引下げ、減免できます


 「何でこんなに高いのか」―目が飛び出るほど上がった国保料や住民税の引き下げ・減免を求める取り組みが広がっています。大阪府西淀川区と川崎市でのたたかいを紹介します。


署名、デモ 市民が運動

大阪市西淀川区

人だかりが

 大阪市北西部にある西淀川区。初夏の日差しが照りつける区役所前で、画板を持って国民健康保険料の引き下げを求める西淀川社会保障推進協議会の署名行動に人だかりができました。

 「去年六万円やった保険料が四十一万円にもなった」「ここまで上げられたら、もう首くくるしかないわ」と怒りをぶつけ、ペンをとりました。

 近寄ってきた中年の女性が聞きました。「なにもかも上がるひどい世の中やねー。この署名は共産党がやってんの」

 署名をよびかけていたメンバーの一人が「西淀川社保協としてやっています」と答えると、「私は公明党やねん。そやけど、今度は公明党には入れへん」とこの女性。署名に応じていた人たちの視線が集まりました。

 「私個人としては共産党を応援しています」とメンバー。女性はさらに聞いてきます。「共産党は選挙に誰が出てるの」

 「比例は共産党が候補者で、大阪選挙区は宮本たけしです」と話すとその女性はうなずき、「わかった。その人に入れるわ」と話しました。

 西淀川社保協は六月十八日から二十二日の五日間、午前九時三十分から午後五時までスーパーロングラン署名を実施しました。こんな対話が署名用紙をはさんであちこちで広がり、千七百十人の署名が集まりました。

自公民が値上げ

 大阪市は昨年、国民健康保険料の算定方式を変えました。このため高齢者や低所得者層、多人数世帯の所得割保険料が高額になりました。

 さらに今年の三月議会で、共産党を除く自民・公明・民主のオール与党が4・5%の国保料値上げを決めました。

 これに対し、「大阪市をよくする会」、大阪市対策連絡会、大阪市の国保をよくする実行委員会、大阪社保協市内ブロックの四団体が共同し、国保の引き下げを求める運動を展開しています。

 西淀川社保協は五月九日、「安心して生活できる国保制度に―社会的弱者の実情に配慮した国保行政、減免基準の大幅拡充を求める要望書」を西淀川区長に提出し、交渉しました。

 区役所は値上げされた国保料の決定通知書を六月十四日から各家庭に発送しました。区役所を訪れた人の声は切実です。

 五日の区役所での集団減免申請に向け、「もうガマンのゲンカイヤ 負担増に怒る西淀川区民一揆」を六月二十八日に開き、二百十人が参加し、デモ行進しました。

 集会では、姫島診療所事務長の前田元也さんの「短期保険証の患者さんが保険料が払えず通院を中断しました。後日、診療所に来たときは病状が悪化し、命も危ない状況です」との訴えに、集会参加者から「許せん」と怒りの声が飛びました。

 「大阪市をよくする会」の姫野浄市長候補が来賓あいさつしました。

 むしろ旗を掲げた行進には、「頑張ってや」と大きく手を振る市民や、道路ででてくる商店主など、共感が寄せられました。要請決議を西淀川区役所に手渡し、大阪市長へ強く要望しました。

 負担増への怒りを結集し、間近に迫った参院選で負担増押しつけ勢力の自民・公明・民主に厳しい審判を下そうと元気よく取り組んでいます。(西淀川社会保障推進協議会事務局長 矢野正之)


制度適用を市に求める

川崎市

 川崎市が住民税の納税通知書を発送したのは六月六日でした。翌七日から十四日までの苦情や問い合わせ件数は一万四千五十四件にのぼりました。

 日本共産党議員団は昨年八月から、今年の定率減税全廃による住民税増税からどう市民を守るかについて市民団体と相談会を重ねてきました。そして「大増税・負担増から市民の暮らしを守る川崎市連絡会」(川崎市社会保障推進協議会、全日本年金者組合川崎市協議会、川崎五民商協議会、新日本婦人の会七支部連絡会、川崎民主市政をつくる会、日本共産党)が十一月に発足しました。

46年前に実現

 この運動でとくに重視したのが市税条例にある「少額所得者減免制度」の活用です。期限の六月末までにと市民に申請を呼びかけてきました。

 この制度は、前年の所得が規則で定める金額以下の人が「前年の所得が少額であり生活が困難」との理由で、本人の申請があれば原則、減免が認められる制度です。国民健康保険料も減免されます。

 全国にさきがけて四十六年前の一九六一年、日本共産党が市の減免条例の拡充を提案し実現したものです。それまでは市税条例の「均等割の減免規定」は「所得が皆無(の者)」となっていましたが、これを「規則で定める金額以下の少額所得者」に対象を拡大しました。(別表)

 ところが、今年に入って確定申告時に減免制度申請の相談をした市民に、行政は申請を抑制するため昨年まではなかった「生活状況申立書」なる調書の提出を求めました。

娘に払わせろ

 提出窓口では―。

 係「家賃は払っていますか」

 住民「持ち家ですから払っていません」

 係「それなら納税できませんか」

 住民「できないから申請にきました」

 係「同居の娘さんに払ってもらったらどうですか」

 住民「どうして娘に親の税金を払ってもらわなくてはならないのか」

 係「昨年までは安易に受けさせてしまったが、今年からは基準内の所得でも生活状況をうかがい、審議したうえで決定します。娘さんから払えないと証明する書類をいただきたい」―など、納付が困難な理由を根掘り葉掘り聞き出しながら申請を出させない対応が際立つようになりました。

 「連絡会」は六月七日、担当課に「申立書」をたてにプライバシーを侵す聞き取りを繰り返し、申請をあきらめさせる市の対応に厳しく抗議し、行政のこうした聞き取りは是正されることになりました。

 「二万三千八百円の住民税がゼロになった。これで国保料も大幅に下がる。本当にありがたい」などの声が寄せられています。

 制度誕生の背景には、増税反対の市民運動の高まりがあり、当時も現在も増税攻勢のなかで、この減免制度が輝きを増しています。(竹間幸一市議)

表

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