2007年6月28日(木)「しんぶん赤旗」
世界人口白書2007
都市の貧困問題に焦点
国連人口基金(UNFPA)は二十七日、都市の貧困問題に焦点をあてた世界人口白書2007を発表しました。
同白書が都市問題を取り上げるのは、一九八六年、九六年に続いて三度目です。
ことしの白書では、二〇〇八年に史上初めて世界人口の半分以上にあたる三十三億人が、人口五十万人以上の都市部で生活することになるという見通しを示しました。三〇年までにこの人数が五十億人にまで膨れ上がると予測し、「新たに都市に住む人たちの多くが貧困層になるだろう」と指摘しています。
都市拡大の要因については、人口移動ではなく「自然増が主な原因」と規定。開発途上国における都市人口の増加要因が自然増であることを示しています。
市街地と緑地を含む都市面積について白書は、「地球の陸地の2・8%を占めるにすぎない」として、この面積は「インドと日本をあわせたより若干広い」程度であると指摘。「持続可能性を踏まえた空間利用」を提起しています。
都市貧困層が不利益を被っている点としては、保健、住宅過密、水道・衛生設備など公的サービスと社会基盤をあげ、これらの分野の政策の重要性を指摘しています。
白書ではまた、都市の自然災害に対するもろさをとりあげています。気候変動にともなって憂慮すべき点の一つが、「海面上昇への影響とそれが沿岸の都市地域に及ぼす結果である」と指摘。被害を受けやすい低海抜沿岸地域は世界の土地面積の2%を占めるにすぎないが、世界の都市人口ではその13%を占めていることをあげています。
二千八百人を超える死者を出した〇五年八月の米南部ニューオーリンズのカトリーナ災害についてもふれ、洪水の危険がある地域に住んでいたのはアフリカ系アメリカ人と高齢者が多く、これらの人々に被害が集中したと指摘しています。

