2007年6月24日(日)「しんぶん赤旗」
新条約策定で合意
09年発効めざす EU首脳会議が閉幕
【ブリュッセル=中村美弥子】ベルギーのブリュッセルで二十一日から開かれていた欧州連合(EU)首脳会議は二十三日未明、EUのあり方と機構改革を定める新基本条約案策定で合意し、閉幕しました。
深夜にわたった協議では、国家主権を盾に難色を示していたポーランドと英国に対し、議長国ドイツのメルケル首相を先頭に各国首脳が説得を続けました。メルケル首相は終了後の会見で、「きょう合意をみなければ破滅的な状況に陥っていた」と成果を強調。会見に同席したバローゾ欧州委員長は、「EUは正しい方向に向かっている」と満足の意を表明しました。
新基本条約案の中身は今年末までに確定する予定で、二〇〇九年半ばまでの発効を目指します。基本条約は〇五年のフランスとオランダでの国民投票での批准否決で成立が阻まれていた欧州憲法条約案に代わるもの。欧州憲法案の骨格を維持し、大統領ポストが創設されます。
ポーランドは意思決定の投票方式が、各国の人口の大きさをより正確に反映するものに改定されるため、同国の発言力が低下するとして新基本条約案に強硬に反対していました。同国は適用時期を当初の〇九年から一七年に先延ばしすることで同意しました。
また英国が自国の主権が弱まる恐れがあると懸念を表明していた「EU外相」職については、名称を「外交・安保担当上級代表」とすることで落ち着きました。英国は警察や司法の分野で自国の権利が侵されるとして、新条約案が取り込む基本権憲章の削除を要求していましたが、英国が関連規定から適用除外されることで合意しました。

