2007年6月18日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

元気です「障害者の店」

働く喜び、地域への貢献


 障害者が働き、地域とつながる大事な役割を果たしているのが、各地にある「障害者の店」。手づくり豆腐、ゼリー、ジャム、あられ、ケーキなどの食品や、レストラン、喫茶店など多彩で、障害者は生き生き元気に働いています。そのなかから、自然食クッキーをつくる東京の「コイノニア」と、京都のワークショップ「ほのぼの屋」を紹介します。


おいしいね“9条クッキー”

共同作業所コイノニア

地図

 東京都東久留米市滝山の団地内にある精神障害者共同作業所「コイノニア」を訪ねると、障害者や職員、ボランティアなど十四人がにぎやかにミーティング中でした。

 その後、自然食クッキーづくりに取り掛かります。作業はなかなか忙しい。型抜き作業でも、こねた生地を機械に入れる人、トレイを差し込む人、型に抜かれたものを取り出す、余分な生地を機械に戻す、窯まで運ぶ―など。それぞれが分担し、手際よく進めます。

 別のチームは、車で近くの学校や保育園などに販売にもでかけます。

 メンバーは、「クッキーを焼くときが楽しい」「初めは計量を間違えることが多かったけど、いまはうまくやれるようになった」「お金(工賃)がもらえる」などが「楽しみ」だとにっこりしました。

 「コイノニア」に登録している障害者は現在三十二人。年齢は二十歳代から六十歳代。「三十代が一番多いかな」と所長の佐原眞さん(68)。

 名前の「コイノニア」は、ギリシャ語で「交わり」の意味。佐原さんは「まだ偏見や誤解が多いなかで、障害を負った方が少しでも社会にかかわる懸け橋として、社会との交わりの場、いこいの場になればと思っているんです」と言います。

 佐原さんはもともとはパン屋さん(現在も作業所の一階は製菓・製パン店「メルヘン」)。体が弱く、養護施設に通ったこともあり、福祉に関心を持っていました。

 あるとき近くの養護学校から「生徒の就労の場にならないだろうか」と相談され、一九九二年に知的障害者のための雇用事業所を開設。九八年に共同作業所「コイノニア」をスタートさせました。

 「メンバーと初めてヤマバトサブレーに挑戦し、羽根や目に色をつけ、きれいに焼きあがった。それを店頭に並べると、よく売れ、お客さんが喜んでくれる。『これはつくる喜びが実感できる』と思いましたね」

 しかし自立支援法の一割負担は、工賃が月八千―一万円の人でも一万―二万円の個人負担がかぶさります。「自立支援法は作業所の実情をまったくわかっていない」と佐原さんは怒ります。

 いま好評なのが「9条クッキー(サブレー)」。楕円(だえん)形にハトがオリーブをくわえて飛ぶ姿と、「平和」「けん法」「9条」「守ろう」の文字を刻み込んだ四枚組みです。

 「メルヘン・コイノニアを支える会」の菅野広直会長は、「平和を願う9条クッキーは、地域の人にも『おいしいし、いいことやっているね』と喜ばれているんですよ」とお勧めします。

 佐原さんは「終戦のとき私は六歳で、本当に悲惨な状況でした。ドイツのヒットラーなどもそうですが、非常事態になると、真っ先に障害者が切り捨てられてしまう。私たちは、あの過ちを二度と繰り返してはならないのです。憲法九条を永遠の誓いとして守りたい」と力を込めました。(富樫勝彦)


売り上げ伸びて生活に幅が

カフェレストラン「ほのぼの屋」

地図

 舞鶴(まいづる)湾が一望できる京都府舞鶴市の高台に、フランス料理が楽しめるカフェレストラン「ほのぼの屋」はあります。五年前の春に、精神障害者授産施設「ワークショップほのぼの屋」の事業としてスタートしました。

 年間一万人を超える食事客、レストランウエディングは八十組以上、五年間で二億五千万円を超える予想外の売り上げを得ているそうです。「生まれて初めて仕事に誇りが持てる」と、働いているみなさんの笑顔が印象的なお店です。

 今から三十年前、まいづる共同作業所が開設され、働く場・生活の場・生きがいの場を求めて、多くの障害者が働き生活しています。その運動から「ほのぼの屋」も生まれました。しかし「年金と一万円の給料だけではグループホームで生活できない」という厳しい暮らしを働く仲間が語ったことから、給料アップへの挑戦が始まりました。

 古本屋の開店や企業への出向など、施設利用者に応じて仕事を選び、利用者に五―八万円の給料を支払えるようになりました。

 給料日の翌日、生まれて初めて六千八百円でジーパンを買い、「おしゃれ」に目覚めた人、飲みに出かける人、将来に備えて貯金を始めた人など、生活の幅がグンと広がるのを見届けた職員は、「働き生きていくために経済的基盤を築くことこそが最重要」と確信したとのことです。

 昨年の十月に、障害者自立支援法が本格施行。これは利用者いじめ、施設泣かせの法律です。しかし法に振り回されず、利用者の願いを実現するため新たな事業も進めています。

 レストランの隣地に一日二室限定の小さなホテル「おーべるじゅ・ど・ぼの」をオープンしました。レストランでのディナー後に宿泊できる空間を用意。ホテルのメンテナンスをすべてメンバーでやり、レストランでの経験が生かせる仕事になりました。

 「障害者自立支援法は障害者の経済的基盤を揺るがすものです。応益負担を許さず、多くの仲間と共に、『あたりまえ』の願いの実現に向けて運動を展開し、地域理解を広げていきたい」と西澤心施設長は、これからの意気込みを語りました。(小杉悦子舞鶴市議)


 障害者自立支援法 二〇〇五年十月に自民・公明が、強い反対を押し切り強行成立。昨年四月から一部実施され、同十月から本格実施されました。障害者の必要な福祉サービスに、原則一割負担の「応益負担」を導入、そのため負担に耐えられない障害者の施設からの退所や施設の経営難を広げています。強烈な批判の声に、政府が一定の手直しをする「特別対策」を打ち出さざるをえなくなっています。


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