2007年6月16日(土)「しんぶん赤旗」

財界がおこなう政党「通信簿」とは?


 〈問い〉 財界が自民党と民主党の双方にレポートをださせて5段階評価をつけるそうですが、どんなものですか? また、そのねらいは?(北海道・一読者)

 〈答え〉 財界の総本山、日本経団連が政党の「通信簿」をつけ始めたのは2004年からです。対象には、政権与党だけでなく野党も含まれています。「野党は、政府・与党への単なる批判勢力から脱皮し、いつでも政権にとって代われるだけの能力を」(03年の経団連ビジョン=通称・奥田ビジョン)と、二大政党制をめざした企業献金の仕組みをつくったのです。「通信簿」の仕組みはこうです。

 まず、経団連が「緊急かつ重要と思われる」10項目の「優先政策事項」を決定します(07年分は1月10日に発表)。この項目ごとに経団連の要望と政党の政策との「合致度」、政策の実現に向けた「取り組み」状況、実際に成し遂げた「実績」で、A(推進)からE(逆行)まで評価します。04年1月以来これまでに4回、「通信簿」が発表されています。

 通信簿には「総評」と「包括的事項の論評」という記述式の欄とともに、項目ごとの「特記事項」欄があります。05年からは自民党や民主党と「党と語る会」というかたちで“口頭試問”も行っています。

 「語る会」では政党側が経団連の「優先政策事項」に対する自党の「政策実現に向けた取り組みと実績」を提出します。

 経団連が求める07年版の「優先政策事項」の主な内容は―

 まず、冒頭に掲げるのは「税・財政改革」。「社会保障関係費の抑制」などの「徹底的な歳出削減」を求める一方、消費税増税を提起。企業には「法人実効税率は30%を」と、現行より10ポイント引き下げを要求しています。「雇用・就労の促進」の項では“残業代ゼロ・過労死促進法”であるホワイトカラー・エグゼンプション制度の導入、地域経済の分野では道州制の導入を主張しています。「外交・安全保障」の項では、10年代初頭までに改憲を提起。改憲手続き法案である国民投票法案の「早期成立」を求めています。

 これらの政策に合致する政党には献金を促すことで、経団連会員企業・団体からの献金額は2年間で約6億円増え、約25億円(05年分)となりました。

 企業に都合のいい政策を実行させるために献金するというのは、まさに政策買収そのものです。企業のモラルとともに、企業におもねる政策を競い合う自民、民主両党の政治姿勢が問われます。(金)

 〔2007・6・16(土)〕


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