2007年6月12日(火)「しんぶん赤旗」

天下り自由化 国公法改悪

首相「成立 今国会で」

参院審議入り


 天下りを自由化し、公務の公正・中立性をゆがめる能力・実績主義を導入する国家公務員法改悪法案が十一日、参院本会議での趣旨説明と質疑で審議入りしました。会期末の二十三日までわずかな審議日数しか残されていないにもかかわらず、与党は今国会での成立を狙っています。

 質疑への答弁で安倍晋三首相は、問題点が噴出し、徹底審議が求められているにもかかわらず、「先送りすることはできない。今国会で成立させていただきたい」と強い意思を示しました。

 政府案は新たに官僚の天下り先をあっせんする「官民人材交流センター」をつくり、天下りを原則禁止から原則自由に変えるものです。衆院での審議を通じ、官民交流の推進では官業癒着はなくならず、能力・実績主義導入で、「全体の奉仕者」である公務の在り方がゆがめられることが浮き彫りになりました。

 安倍首相は天下りの規制強化について「官と民との垣根を低くすることが望ましい。闊達(かったつ)な交流を妨げる事前承認の強化は望ましくない」と否定し、官業癒着をひどくする「官民交流」をすすめる考えを示しました。

 能力・実績主義が公務の在り方をゆがめるとの批判に対し、「営利の追求を目的としない公務の世界においても職員の能力と実績を評価することは可能」と正当化しました。公務に成果主義を持ち込む誤りは、社保庁の保険料不正免除事件でも明らかです。

 天下りとエリート官僚育成の温床である退職勧奨について、「公務以外の世界に転職したほうが望ましい職員に対し、退職を勧奨することは今後ともありうる」とのべ、法的根拠のない退職勧奨によって、天下りと特権官僚システムを温存する姿勢を示しました。


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