2007年6月8日(金)「しんぶん赤旗」

国家公務員法改悪案

吉井議員の反対討論

衆院本会議


 七日の衆院本会議で行われた国家公務員法改悪案に対する日本共産党の吉井英勝議員の反対討論は次のとおりです。

 はじめに天下り問題、国民の行政サービス、公務員労働者の権利にかかわる基本法を、不十分な審議のまま採決を強行することは、国会審議を形骸(けいがい)化するものであり、強く抗議するものであります。

天下り自由化

 法案に反対する第一の理由は、官僚の天下りを、原則禁止から、原則自由に百八十度変えて、官業癒着をさらに深めるものとなるからです。

 法案は、「官民人材交流センター」さえ通せば、公共事業や建設業に大きな監督権限を持つ国土交通省の局長が、退職の翌日からでも大手建設会社の役職に就けることになります。

 銀行や証券会社の不正を検査し摘発する金融庁の検査局長も、退職した次の日から、検査される側の金融機関の役職に就けるのです。

 まさに、天下り自由化法案そのものであります。政府は、各府省のあっせんを排除して、「官民人材交流センター」で一元的に再就職をあっせんするといいながら、各府省が「センター」に関与できる仕組みをしっかりつくっています。

 そもそも国民が利用するハローワークと別に、官僚専用の「特製ハローワーク」を、国民の税金でつくる必要などまったくありません。

公務ゆがめる

 実効性ある天下り規制は、規制対象を民間企業だけでなく、公益法人や特殊法人などに拡大し、離職後二年間の規制期間を五年に延長するなど、現行法の抜本強化を図り、公務員を定年までしっかり働けるようにすることです。

 第二の理由は、「能力・実績」主義の人事管理導入が、全体の奉仕者としての公務をゆがめ、行政サービスを低下させるからです。

 公務の仕事は採算や効率だけではかれるものでなく、客観的な評価基準の設置をはじめ、実際の評価もきわめて困難であります。実際、成果主義でノルマをあおってきた社保庁が保険料不正免除事件を起こすなど、国民一人ひとりを大事にする行政サービスにつながらないことは明白です。

権利回復なし

 第三の理由は、公務員制度改革といいながら公務員労働者の労働基本権回復について、なんら言及していないことです。

 労働基本権は、憲法で保障された権利であり、公務員制度の民主的改革の要です。ILO(国際労働機関)からも国際労働基準に合わせるよう繰り返し勧告が行われているのであります。

 なお、民主党案の天下り規制強化には賛成ですが、「能力・実績」主義の導入等には、先に述べた理由から同意できません。

 官業癒着を深め、公務の公正・中立をゆがめる本法案は、廃案しかないことを強く指摘し討論を終わります。


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