2007年6月3日(日)「しんぶん赤旗」

温暖化防止 拘束力ある目標を

EU“米提案 効果ない”


 【ベルリン=中村美弥子】ブッシュ米大統領が提案した新たな地球温暖化対策について、欧州連合(EU)は冷ややかな反応を示しました。

 EUの執行機関の欧州委員会のディマス委員(環境担当)は一日、ブッシュ大統領の提案は削減義務や排出権取引に触れず、目標があいまいだと指摘。「米国の従来の立場を再度表明したものだ」と非難し、「温室効果ガス削減に対して効果がない」として、米国の提案を退けました。

 バローゾ委員長は一日付のフィナンシャル・タイムズ・ドイチュラント紙のインタビューで、「米国は環境汚染物質の大排出国として、特別の責任を負っている」とし、「もっと意欲的な姿勢が必要だ」と注文。米国は気候変動とのたたかいで市場原理に強く依存していると指摘し、「拘束力のある目標を持ってこそ、市場原理は機能する」と強調しました。

 ブッシュ米大統領が五月三十一日に発表した新提案は、(1)温室効果ガスの主要排出国が米国主導で協議し、来年末までに長期削減目標をつくる(2)各国の特性にもとづく中期的戦略づくりにもとりくむ、が柱です。

 これにたいしてドイツは、今週開かれるG8サミットの議長国として、温室効果ガス排出を二〇五〇年までに一九九〇年比で半減するサミット草案を提示しています。また国際社会は今年十二月、インドネシアのバリで京都議定書第三回締約国会合を開催。これを基に、現在国際的な合意の存在しない二〇一三年以降の温室効果ガス削減の枠組みづくりを進めようとしています。



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