2007年5月28日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

子育て支援 で活性化

合併しない小さな町


 「三位一体の改革」「地方分権」の名のもとに、国による合併の押しつけがすすめられるなか、自立を選択した自治体で財政が困難でも子育て支援でまちを活性化させようというとりくみが行われています。


高校入学時に5万円

医療費無料化、給食も前進

岡山 奈義町

地図

 岡山県奈義(なぎ)町は、二〇〇二年十二月の住民投票で、合併反対が圧倒的多数(75%の投票率で、反対が73%)となり、自立の町づくりを進めている人口六千六百人余りの小さな町です。

本当に助かる

 この四月から、子どもの医療費無料化を通院、入院とも小学校卒業まで拡大し、中学生は入院が無料となりました(これまでは、通院、入院とも小学校入学まで無料で、小学生は入院費無料)。また、高校入学時(専門学校なども含む)のさまざまな経費(交通費も含む)を支援するために、一人当たり五万円の就学支援金を全員に支給することになりました。

 「子どもが小さいと風邪をひいたりケガをして病院に行くことが多く、医療費が大変でしたが、小学校卒業まで無料になって、本当に助かっています。また子どもを産もうかという気持ちも、ちょっと出てきました」(國富早苗さん、三十三歳)、「高校支援金は大変うれしいです。いろいろと出費もあり、本当に助かっています。無理かもしれませんが、将来は、通学費の助成を期待しています」(三十九歳、女性)など、子育て真っ最中のお母さんたちからは喜びの声が寄せられています。

 この四月から待望の中学校給食も始まり、関係者から大歓迎されています。医療費、高校就学支援に加えて、子育ての支援事業“トリオ”とも言えるものです。

 奈義町も国の「三位一体改革」の影響を受け、財政は少しずつ大変になっています。しかし、合併しない決断をしたとき、“住民サービスは低下させない”ことを重要方針として、基本的に住民サービスの低下を避けてきました。

大型事業抑え

 この二月に新しく就任した花房昭夫町長は「少子化対策や高齢者福祉は避けて通ることはできない。大型事業は抑えて、町民生活に結びついた事業を重視したい。子どもは“宝”であり、財政の見通しも立てて、少しでも子育て支援に役立つなら、と考えている。また、今回の新しい事業は地域の活性化にも結びつくものと期待している」と今回の子育て支援事業について思いを語っています。

 日本共産党奈義支部と私は一貫して、子どもの医療費無料化対象年齢引き上げ、高校生の通学費支援、中学校給食実現を訴えて、町民と一緒に運動をすすめてきました。運動が実を結び、確信が広がっています。

 今後、協働の町づくりをいっそう推進し、合併をしないで、“小さくてもきらりと光る”奈義町の町づくりにむけ、取り組みを進める決意です。(森藤政憲町議)


保育所、学童保育を拡充

要望聞いて細やか施策

岐阜 笠松町

地図

 岐阜県笠松(かさまつ)町は、子どもの医療費助成や、延長保育、放課後児童クラブなどの子育て支援で、町を活性化させようと努力しています。

 日本共産党と住民のねばり強い運動で一九九四年に子どもの医療費無料化が実施され、九八年には通院・入院とも十五歳までの無料化が実現、県下の先進といわれるようになりました。

年少人口増えた

 九六年を境に、若い世代の定住者が増えると、出生率も向上して年少人口(ゼロ歳から十四歳まで)に変化が表れ、三千九百七十七人(二〇〇三年四月)が四千六百三十六人(〇七年四月)へと増加しています。

 〇一年三月には、日本共産党の井上美代参院議員(当時)が国会で笠松町の取り組みを紹介し「国段階で乳幼児医療費助成制度の実現を」と求めました。

 人口二万二千人余で、濃尾平野を流れる木曽川右岸沿い、総面積(千三十六ヘクタール)の三分の一が川という清流に抱かれた笠松町は少子化などの影響で、一九九五年には人口が二万一千人弱まで減少。定住人口を増やし、町の活性化が求められていました。

 そうしたなかで、〇五年六月、岐阜市などとの合併の是非を問う住民投票が実施され、57・13%の有権者が投票し、「合併反対」が六千三百十八票(得票率64・6%)でした。

 広江正明町長は「自らの発想で独自の町政を『自助・共助・公助』を基本理念に新しいまちづくりを進めてまいりたい」(町ホームページ)と語ります。

 町は住民投票の結果を受けて、当時六十三億円規模だった一般会計予算から十億円余を縮減する「行財政改革」を断行。

 町長・町議ら特別職と一般職員の給与・手当のカットをはじめ、保育所の民間委託化、乳幼児医療費助成の通院年齢を、十歳までに引き下げましたが、子育て支援事業全体の底上げに力を入れています。

 午前七時から午後七時までの延長保育事業(通常・午前八時半から午後四時半まで)、町内三つの小学校で行う放課後児童クラブ運営事業(一年生から三年生、午後七時まで)などの児童福祉に、一般会計予算の約11%(五億七千万円)を充てるようになりました。

入所条件を緩和

 昨年六月、子育て中の親らが千八百八十七人分の「学童保育充実に関する請願書」を議会に提出し、十二月には町長とも懇談して実情を訴えました。その結果、四年生から六年生の兄姉がいる子どもは児童クラブに入れないという条件が外され、今年二月から実施されています。四月からはプレハブの二教室が増築され、定員も増えました。

 小学一年生の子どもがいる女性(36)=正看護師=は、「十年前に転居してきました。要望は尽きないが、放課後児童クラブがあり助かっています」といいます。

 町長との懇談に同席した日本共産党の長野恒美町議は「四十万人の岐阜市と合併せず二万二千人の町だから、町長とも懇談もでき、細やかな対応ができました。乳幼児医療助成の拡充など『福祉の心』が生きるまちづくりに貢献していきたい」と話しています。(岐阜県・鈴木正典記者)


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