2007年5月26日(土)「しんぶん赤旗」

社保庁解体法案 衆院委強行採決

年金の安心 投げ捨て


 五千万件にのぼる年金記録ミスが大問題になるなか、政府・与党が、年金の安定運営を脅かす社会保険庁の解体・民営化法案を衆院厚生労働委員会で強行採決したことは、公的年金に対する国の責任を投げ捨てるものです。

 公的年金は、憲法二五条に基づく国民の生存権を保障する制度であり、何十年にもわたる加入記録や保険料の確実な管理が不可欠です。そのため国が直接責任を持って運営し、専門性や公平・中立性を担保するため公務員が業務を担っています。

 年金記録ミスは、それを営利企業に丸投げするという政府案の根幹が問われる問題でした。

 ところが政府案は、年金業務をバラバラにし、競争入札で外部委託。委託業者や従業員が数年ごとに入れ替わるため、確実で安定した年金運営などできません。個人情報の漏えいや不正利用などプライバシーも深刻な危機にさらされます。

 これは将来の問題ではなく、すでに多くの業務が委託され、記録ミスなどさまざまな問題が起きている現実問題です。

 質疑のなかで政府は、「あってはならない」「チェックする」などとしか答えられず、参考人からも分割・民間委託について「運営管理を国が包括的一元的に行うのが世界の流れ。世界の恥になる」と厳しく指摘する声が上がりました。

 年金記録ミスについて政府は「申し出があれば調査する」といっていましたが、二十五日、世論に押されて自ら調査を行う考えを表明しました。しかし、詳細は何も明らかになっていません。

 年金未納者に国民健康保険で制裁を科す問題、給付に使うべき保険料を事務費に流用する問題、分割・委託が新たな天下りや利権の温床となる問題など、いずれも審議は尽くされていません。

 分割・民営化の問題では民主党の姿勢も問われます。民主党は、社会保険庁を解体し、国税庁とあわせて歳入庁をつくる法案を提出しました。年金業務を細分化し、民間委託する点では政府案と変わりないもので、「公務員削減や民間委託でスリム化ができる」といって社保庁の解体・民間委託を競い合いました。

 政府・与党は二〇〇四年、「百年安心」とうそぶいて年金制度の改悪を強行しました。貧困と格差が広がるなか、年金運営でも国民が願う安全・安心を脅かす姿勢は、批判を免れません。(深山直人)


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