2007年5月21日(月)「しんぶん赤旗」

主張

非核日本宣言

被爆国政府は責任ある行動を


 日本原水協と非核の政府を求める会の代表など、広範な各界の人びとの共同提唱で、日本政府に「非核日本宣言」を求める運動が始まりました。日本政府が、「核兵器廃絶の提唱」と「非核三原則の厳守」を内容とする「非核日本宣言」を国会や国連の場でおこない、すべての国に通告することを求めるものです。

逆行を許さない

 この提起は、今日の世界と日本の状況から、きわめて時宜にかなったものと歓迎されています。

 第一に、日本が被爆国として核兵器廃絶のイニシアチブをとることが改めて強く求められているからです。

 二〇〇〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議では、核兵器廃絶の「明確な約束」に核保有国も合意しました。しかし核超大国アメリカは「核拡散やテロの脅威」などを口実に、その実行を棚上げするばかりか、新型核兵器の開発や核兵器先制使用政策を進めています。また実際、核兵器拡散の懸念も強まっています。

 注目すべきは、大量破壊兵器保有をでっちあげてのイラク戦争の泥沼化と破たんによって、ブッシュ政権が内外で深刻な批判と孤立にさらされ、このもとで拡散問題を打開するためにも核兵器廃絶に進むべきだという声が広がっていることです。かつて核戦略を推進してきた元米政府高官でさえ、アメリカこそ率先して行動せよと提言しています。

 問われているのは日本が被爆国政府としてどう行動するかです。日本政府は毎年の国連総会に、「核兵器廃絶の新たな決意」と題する決議を出しています。しかし核兵器廃絶の「明確な約束」の実行もそのための交渉開始も求めず、看板倒れです。このような態度を改め、被爆国政府としての使命を果たすべきです。

 実際には日本政府は、北朝鮮の核開発問題などを口実にして、被爆国政府としての使命を果たすどころか、むしろ逆行を強めています。「非核日本宣言」の提唱が歓迎される第二の理由はそこにこそあります。

 北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議が始まる前、日本政府は、北朝鮮が核兵器開発を放棄しても「核兵器不使用」を約束しないようアメリカに要請し、内外の反核運動家を驚かせました。日米同盟強化をうたった先日の日米安全保障協議委員会では、日本側の強い要求によって“核・非核の打撃力・防衛能力”による「拡大抑止」つまり「核の傘」の強化が合意されました。米先制攻撃戦略の中軸であるミサイル防衛システムの日本への前倒し配備も確認しました。北朝鮮核実験問題の平和解決に世界が一致して動こうというとき、政府・与党高官から核兵器保有論議がもちだされたことも、世界に衝撃を与えました。

 被爆国政府が核兵器廃絶どころか核兵器によって「安全」を守るという、核軍拡の悪循環をつくり出した時代錯誤の発想にとらわれていることは明らかです。「核の傘」からの離脱、非核三原則の完全実施によって、日本を、真に核兵器廃絶へのリーダーシップを発揮する道に進ませなければなりません。

草の根から議論を

 重大な局面を迎えている憲法九条改悪のねらいは、日本を、アメリカの先制攻撃戦争をともにたたかえる国にすることです。「非核日本宣言」の運動は、被爆国を核兵器使用戦略に組み込むことを拒否し、反核と九条守れのねがいを合流する重要なとりくみともなるでしょう。改憲阻止とともに、「非核日本宣言」の実現に力をつくそうではありませんか。



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