2007年5月19日(土)「しんぶん赤旗」

教育3法案 スピード可決

石井議員 異例審議に抗議

衆院本会議


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(写真)反対討論する石井郁子議員=18日、衆院本会議

 教育への国家の介入を強め、教育現場の困難をさらに拡大する教育三法案が十八日の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成で可決され、参院に送られました。日本共産党、民主党、社民党、国民新党は反対しました。

 教育三法案は昨年成立した改悪教育基本法を具体化するものです。教育再生会議や中央教育審議会での異例のスピード審議を経て四月十七日に国会で審議入り、わずか一カ月で衆院通過となりました。反対討論で日本共産党の石井郁子議員は「解決すべき問題が山積しながらの採決に断固抗議をする」と述べました。

 法案は、「国を愛する態度」など多くの徳目を義務教育の目標に掲げています。石井氏は「『靖国史観』を学校現場に持ち込む動きに拍車をかける」と批判しました。

 さらに石井氏は、教育委員会に対して新たに設けられた文部科学相の「是正の要求」には、「日の丸・君が代」実施も対象となることが審議を通して明らかになったと指摘。「これでは学習指導要領や教育振興基本計画の強制の手段に使われかねない」と警鐘を鳴らしました。

 民主党の北神圭朗議員は「祖国に感謝の気持ちと愛情をはぐくむことが大切だ。政府案は貧弱で中途半端だ」と発言。自民党の中山成彬元文科相は「民主党の教育に対する熱意には共感する。与野党協力して、昔の対立した時代とは様変わりの充実した審議ができた」と述べ、「愛国心」などを盛り込んだ対案を出した民主党を評価しました。

 参院では特別委員会は設置せず、文教科学委員会で審議が進められる見込みです。自民・公明与党は、二十一日の参院本会議で首相出席の質疑を行った上、二十二日から週二回ペースで委員会審議を進める構えです。


教育3法案のポイント

【学校教育法改定案】

・義務教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度」などの徳目を盛り込む

・学校に、新たに副校長、主幹教諭、指導教諭を置く

・文科相の定める基準で学校評価

【教員免許法等改定案】

・教員免許に十年ごとの更新制を導入

・「指導が不適切な教員」の人事管理の厳格化

【地方教育行政法改定案】

・文部科学相が教育委員会に「指示」、「是正の要求」ができる

・教育委員会の私立学校への関与を可能に


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