2007年5月15日(火)「しんぶん赤旗」
スズキ過労自殺で和解
元課長遺族に6千万円
軽四輪大手メーカーのスズキ(本社・静岡県浜松市)の課長だった小松弘人さん=当時(41)=が自殺したのは安全配慮義務を怠った会社に責任があるとして、両親の小松充一さん(74)とやゑ子さん(69)が慰謝料など損害賠償を求めた裁判で十四日、東京高裁で和解が成立しました。
会社側が小松さんの死に対して、両親に哀悼の意を表明し、一審判決が認めた金額にほぼ等しい六千万円の和解金を支払い、今後いっそうの労働環境の改善に努めることを約束したため、合意に至ったものです。
小松さんは二〇〇二年二月に四輪車体設計グループに配転後、残業時間は月百時間を優に超え、過労が原因でうつ病を発症。わずか二カ月半後に本社ビル屋上から飛び降り自殺しました。
一審の静岡地裁浜松支部は〇六年十月、会社側の安全配慮義務違反を明確に認定し、総額五千八百万円余の賠償金の支払いを命じました。
スズキはこれを不服として控訴していましたが、裁判長から和解勧告があり、和解協議が重ねられていました。
〇四年五月に浜松労働基準監督署は労災認定しています。
両親の小松充一さんとやゑ子さんは「息子を失った悲しみは消えることはありませんが、このような不幸な事故が二度と起きないようにしてほしい」と話しています。