2007年5月13日(日)「しんぶん赤旗」
薬害ヤコブ病
和解5年、癒えぬ悲しみ
遺族ら東京で催し
“厚労省反省ない”
脳外科手術のさいに「ヒト乾燥硬膜ライオデュラ」の移植によって難病のクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した被害者の遺族らが国と製薬会社に損害賠償を求めた薬害ヤコブ病東京訴訟の和解成立から五周年を記念する催し(主催・東京原告の会)が十二日、東京都内で開かれました。亡くなった被害者の追悼行事、支援活動にたずさわった音楽家による演奏会、懇親会を行いました。
妻を薬害ヤコブ病で亡くした東京訴訟原告の山村伊吹さん(65)は、「和解の確認書で『悲惨な被害をふたたび繰り返すことのないよう最善・最大の努力を重ねる』と誓約したのに、薬害はなくならずに、国は被害者の気持ちを踏みにじっている。製薬企業の抵抗で和解が成立していない原告もいます。終わりではない」と語っていました。
全国で最初に滋賀県の大津地裁に提訴した大津訴訟原告団の谷三一原告団長(58)は「失った妻の命は戻らない。厚生労働省はまったく反省していないのが残念」と話していました。
ヤコブサポートネットワーク専任相談員の浅川身奈栄さんは「厚生労働省のまとめによると百二十九例の薬害ヤコブ病被害者が確認されています。二〇〇六年は前年に比較して相談件数は倍近く増えています。大学病院でヤコブ病だと診断されると退院を強要される例もありました。これからの役割が大きいです」と話していました。
日本共産党の小池晃参院議員が出席。「薬害ヤコブ病訴訟の和解成立後も薬害C型肝炎、薬害イレッサ、タミフル問題と続いています。人の命よりも収益を優先する加害企業の姿勢は一貫して変わりません。国会の場で政治の病気を治すため頑張っていきます」とあいさつしました。

