2007年5月10日(木)「しんぶん赤旗」

ベネッセ雑誌 文部官僚が次々登場

3年で10人 学力テストPR


写真

(写真)ベネッセの教育情報誌『VIEW21』06年1月号

 全国一斉学力テストの集計・採点・分析などを文部科学省から受託した受験産業大手ベネッセコーポレーションの雑誌『VIEW21』に、文科省の官僚などが繰り返し登場し、学力テストの狙いなどを語っています。まるで文科省公認の広報誌のようです。

 『VIEW21』は小学版と中学版、高校版があり、小学版と中学版は年四回、高校版は年六回発行です。二〇〇四年からの三年間で十人にのぼる文科省の官僚が登場しています。

 〇六年一月号は、文科省の銭谷真美初等中等教育局長のインタビューを掲載。「全国学力調査を学力把握と授業改善に役立ててほしい」などと学力テストの狙いを語っています。

 〇六年特別号(七月発行)には、文科省の学力調査に関する「専門家検討会議」座長の梶田叡一兵庫教育大学長が登場し、「全国的な学力調査が起爆剤となり、教育委員会や学校、保護者それぞれの意識改革が進むことを期待しています」と発言。「極端にいえば、毎週、学力調査があってもよいというのが、私の個人的な考え」とまで述べています。

 〇六年七月は、ちょうどベネッセが学力テストを受託することが決まった時期。特別号は「学力調査を指導改善に生かす」と題して、学力テストの総力特集をしています。

 〇七年一月号では、学力テストの準備を行っていた文科省の学力調査室長の高口努氏が「全国学力・学習調査Q&A」に答えています。「スケジュールを詳しく知りたい」「どのような『学力』を測ろうとしているのか」など十五項目の質問に答えています。

 ベネッセは約二十二億円(〇七年度)で学力テストの事業を受託しました。昨年の予備調査も含めるとベネッセに支払われた税金は三十億円を超えます。

 同社の担当者は文科省が雑誌で学力テストの意義を語っていることについては、「とくに問題とは思っていない。自粛する必要性があるとは考えていない」と話します。

 日本共産党の石井郁子議員は四月二十三日の衆院教育再生特別委員会でこの問題を指摘し、「事業を受託した特定の企業の雑誌に文科省のトップクラスの役人が登場する。こんなことがあっていいのか」と癒着を批判しました。伊吹文明文科相は「職員と当該企業との関係については、これからきっちりと厳しく言う」と苦言を呈しました。

 ベネッセは、全国一斉学力テストを利用して、自社の学力調査の売り込みを小中学校に行っていたことも明らかになっています。同日の委員会で伊吹文科相は「事前にうちのものを受けたらいいなどを商売でしているというのは、企業としては決していい企業じゃない」と述べました。

企業宣伝に一役は重大

 全日本教職員組合の山口隆副委員長の話 文部官僚が、とりわけ全国一斉学力テスト実施の責任者である学力調査室長が、自ら学力テストを委託した受験産業のベネッセの宣伝に一役買っていたことはきわめて重大です。

 文科省が、学力テストの解答(回答)用紙を固有名詞で集約することにこだわったのには、こうした背景があったからなのかと疑わざるをえません。徹底的な究明を求めます。

表


■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp