2007年5月5日(土)「しんぶん赤旗」

じん肺の労災認定

補償不支給取り消し

埼玉の月輪さん 申請2年「後の人のためにも」

基準にない判断は誤り


 「労災申請から二年、じん肺の労災補償が認められてよかった」。専門医の診断でじん肺の認定を受け、二年前に合併症を発症した元建築職人の月輪忠義さん(64)=埼玉県蓮田市=のもとに、労働基準監督署から四月末、労災休業補償不支給を取り消し労災認定を認める通知が届きました。


小池参院議員と主治医らが指摘

 埼玉土建岩槻蓮田支部や藤井正實・芝病院医師らと日本共産党の小池晃参院議員が、労災不支給決定について「労災認定のハンドブックの基準にない条件をもちだし不支給にしている」と指摘し、厚生労働省に基準どおりの決定を求めてようやく実現したものです。

 月輪さんが、じん肺(管理区分2)と認定されたのは二〇〇二年。三年後の〇五年四月に肺炎を発症して以来、酸素ボンベを手放せない体に。主治医の藤井医師から、じん肺合併症の続発性気管支炎と診断され、労災の療養と休業補償を申請しました。

 ところが、昨年二月、合併症が否認され、労災と認定されませんでした。埼玉労働局におこなった不服申し立ても棄却。胸部レントゲンをもとに「じん肺による合併症」を認めない内容。開示を求めた労災不支給決定の書類には「石綿吸引が起因する胸膜プラークを認める」と書かれていました。しかし、ハンドブックの「続発性気管支炎」の基準は胸部レントゲンではなく、たんをもとにしたものでした。

 小池議員らと四月中旬の交渉のなかで、厚生労働省職業病認定対策室は「診査医が判断基準を誤解していた。管理区分の認定がされ、その後、続発性気管支炎を発症して労災が請求された場合はハンドブックの基準通りの判断をすることを指導した」と説明。不支給決定取り消しの突破口となりました。

 月輪さんの妻、美恵子さん(60)は「埼玉県内には、じん肺の専門病院がなく、労災認定を受けるために、二年もの間、東京・大田区の労災病院まで苦しい体で通ったのが辛かった。藤井先生に『あとの方のためにも、がんばってください』と励まされて…。あとの人たちのためになれば…」と語ります。

 埼玉土建岩槻蓮田支部の大熊三夫書記は「蓮田支部では、初めてのじん肺労災認定」と喜びます。埼玉土建として四十三人目の労災認定。藤井医師は「じん肺法にのっとって労災認定するのではなく、勝手な判断基準で認めないのが問題。法律どおり認定されたことはよかったが、三、四年前にも東京で同様のケースがあり、小池議員の尽力で解決できた。その後、埼玉県でもあったので、地方にも飛び火するのではないかと危ぐする」と語ります。

 小池議員は「基準以外の要件で切り捨てるのは許されない。誤りを認め認定したことは評価できるが、二度とおこることがないよう労災認定行政のあり方を見直すべきだ」と話しています。



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