2007年5月5日(土)「しんぶん赤旗」

主張

こどもの日

憲法と権利条約を心に刻んで


 きょうはこどもの日です。日本国憲法にもとづき、子どもの人格を重んじ、幸せを願い、母に感謝する日です。子どもの笑顔があふれる一日にしたいものです。

子どもの声に耳傾けて

 『聴こえてますか小さな悲鳴 子どもの声をどう受けとめるか』(大月書店)で紹介されている小学生の詩にドキッとしました。

 「何やれ 何やれ 何やれ 何やれ ぼくは 何人もいないぞ」

 “何やれ”の字が段々と大きくなっています。けっしてお母さんがきらいではないけれど、次々に出される、これやれ、あれやれ、の指示に子どもは困惑しています。

 あるある、と、思わずわが身を振り返ってみるおとなも少なくないでしょう。

 十三年前の一九九四年、こどもの日を前に、日本が批准した「子どもの権利条約」は、大きくわけて子どもの四つの権利(生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利)を守るよう定めています。育つ権利とは、教育を受け、休息をとったり遊んだりできること、考えや信じることの自由が守られ、自分らしく育つことができる権利です。あれやれ、これやれ式は、子どもの権利を損ねるものです。

 本紙の「読者の声」欄(二日付)に、子ども時代に学校でいじめを受けた女性が思いを投稿しています。高校生のときに自殺を思いとどまって一人で児童相談所に相談にいったという女性は、「親が子どもを見るより、子どもはもっと親を見ている。いつもと違うって思ったら、聞いてほしい。聞いてほしかった」と書いています。

 子どもの話を聞くことは、いうにたやすいことではありません。まして、いじめ問題は親に心配をかけたくないという気持ちから、なかなか本当のことがいえません。

 子どもにうるさいと思われずに親身になる。そのあんばいの困難を乗り越え、子どもの声に耳を傾ける努力を広げてこそ、子どもの権利条約を生かすことができるでしょう。

 子ども自身がいじめ克服にとりくむ小学校や、いじめをなくすための中学生交流会など、子ども主役の学校づくりも、専門家によって紹介されています。子どもの言葉の裏にある思いや願いを聞き取るとりくみも広がっています。

 子どもの権利を守り、自主性を生かそうという世論や運動と対極にあるのが、安倍内閣の「教育再生」です。子どもの成長を第一に考えている教育基本法を、教育への国家統制のための法律に改悪しました。改悪された教育基本法の具体化をはかる法案を国会に提出しています。

 安倍政権の「教育再生」に貫かれているのは、国の号令、命令で、学校や家庭、子どもたちを動かそうという強権的な考えです。

平和な日本と世界を

 日本には、過去に国民の自由と権利が奪われ、教育への国家統制が極限まで強められ、侵略戦争につきすすんだ痛苦の歴史があります。その反省にたって、国民主権、基本的人権、戦争放棄の原則を決めた日本国憲法が制定されました。

 その憲法を、強権・タカ派の安倍首相が任期中に改定すると公言しています。子どもの未来を安倍政権の犠牲にするわけにはいきません。

 教育への国の介入を許さず、憲法と権利条約をよりどころに、子どもたちに笑顔と、そして、平和な日本と世界を手渡す決意を固めたいと思います。



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