2007年5月5日(土)「しんぶん赤旗」

温室ガス

大幅減、経費上も可能

30年時点でGDP3%未満 国連部会が報告


 【ハノイ=井上歩】国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は四日、バンコクで、地球温暖化対策に関する第三作業部会の報告を公表しました。報告は、産業革命前からの気温上昇を二・〇―二・八度に抑えるには、二〇五〇年に二酸化炭素などの温室効果ガスを二〇〇〇年比で30―85%削減する必要があると指摘。そのための対策にかかる経費は、三〇年時点で世界の国内総生産(GDP)の3%未満と見込んでいます。

 報告執筆陣の一人で環境保護団体グリーンピース顧問のビル・ヘア氏はロイター通信に対し、「(温室効果ガスの)大幅削減が経済的、技術的に実行可能であることを示している」とし、今回の報告を評価しました。

 報告は、現状のままで追加的な政策を講じなければ、三○年までに温室効果ガスは二○○○年比で25―90%増えると予測。しかし対策をとれば大幅削減が可能だと指摘しています。その技術として、火力から風力・太陽光発電への転換、ハイブリッド車、バイオ燃料などを挙げています。

 削減を促進する政策として、排出の規制措置、税金・課徴金の導入、排出権取引、政府と産業界による自主協定の締結などを例示しています。

 四月三十日に始まった第三作業部会の会合は三日が最終日でした。しかし、報告の内容は京都議定書の最初の目標達成期間が終わる一三年以降の対策の枠組みづくりに影響するだけに意見調整が難航。報告採択が四日午前にずれ込みました。

 IPCCは各国の科学者らで構成。今回の報告は一九八八年の設立以降で四回目です。温暖化の実態に関する第一作業部会が二月に、今世紀末の平均気温が一・一―六・四度上昇すると予測する報告を公表。四月には温暖化の影響に関する第二作業部会が、気温上昇が二―三度以上となれば世界全域で経済的損失が発生するとの報告をまとめています。



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