2007年5月4日(金)「しんぶん赤旗」
暴力許容の風潮警戒
朝日新聞支局襲撃事件 20年で言論問う集会
朝日新聞阪神支局(兵庫県西宮市)に散弾銃を持った男が侵入し、記者二人を殺傷した事件から二十年となる三日、「第二十回言論の自由を考える5・3集会」(朝日新聞労組主催)が尼崎市内で開かれました。テーマは「『愛国』の自由を問う」。ジャーナリストや政治家らがパネリストを務め、七百人が討論に聞き入りました。
集会は二部構成。後半のシンポジウムは「愛国心・ナショナリズムを問う」と題し、実家が右翼団体幹部に放火された加藤紘一・自民党元幹事長とニュースキャスターの筑紫哲也氏、中島岳志・北海道大学大学院准教授が意見をかわしました。
筑紫氏は「『勝ち組、負け組』を生んだ格差社会化が、窮屈な言論とナショナリズムを強めることに関係しているのでは」と発言。中島氏は「今の日本の指導者は、憲法よりも日米安保条約を上位概念ととらえているのではないか。国家主権を崩しかねない危うい事態。憲法九条を守ることが、保守の立場にとっても現実的な問題になっている」と語りました。
加藤氏も「今は憲法改正をする時期ではないと思う」と話しました。
第一部は二十年前の襲撃事件を振り返るシンポジウムで、殺害された小尻知博記者とともに尼崎市の警察担当をしていた毎日新聞記者らが「当時、今度は自分たちが襲われるかも、と恐怖を感じた」「二十年前と比べて、暴力を許容する風潮が広まっていないか」などと議論しました。
集会の最後に、朝日労組の石嶋俊郎・本部執行委員長が登壇し、「この集会は、私たちが真に書くべき事を書いているのか、小尻さんに胸を張れる私たちなのかをじっくり考える場。今後も開催しつづける」と語りました。

