2007年4月30日(月)「しんぶん赤旗」

ノルウェー首相が提案

温室効果ガス“ゼロ”に

2050年目標


 【ロンドン=岡崎衆史】地球温暖化への懸念が強まるなかで、ノルウェーが世界に先駆け、二酸化炭素(CO 2)などの温室効果ガス排出を二〇五〇年までに「ゼロ」にする目標を掲げると表明したことが注目されています。温室効果ガス削減をめぐっては欧州連合(EU)が二〇年までに一九九〇年比で少なくとも20%削減する目標を打ち出し、英国も五〇年までに60%削減することを柱とした「気候変動法案」を発表しています。


 ノルウェーの「ゼロ」目標は、ストルテンベルグ首相が十九日に与党労働党の総会での演説で打ち出したもの。自国での省エネのほか、風力や太陽光発電の導入拡大を中国やインドなどでも進めて温室効果ガス排出を削減し、その分を自国の排出量から差し引くことや他国の排出削減分を買い取る「排出権取引」という仕組みを活用して、二〇年までに一九九〇年比で30%削減、五〇年までにゼロにする計画です。提案はすでに中道左派内閣の支持を得ているといいます。

 同首相は、この演説で「豊かな国は排出をゼロにしなければならない」と述べ、他の工業諸国にも「ゼロ」への同調を呼びかけました。

 京都議定書の下でノルウェーは温室効果ガス排出量を一二年末までに、九〇年比で1%まで増やすことが認められていますが、新たな目標はこれを大胆に変更する内容となっています。

 ただ、環境団体は、外国での排出量削減事業への支援や排出権の買い取りによって自国の排出量を削減することに主として焦点が当てられることには批判的で、国内での排出削減を重視するよう求めています。


 排出権取引 全体としての温室効果ガスの排出削減の補完的措置で、削減目標値からさらに削減できた国や企業から、その余剰分を金銭で購入できる仕組みのことをいいます。


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