2007年4月30日(月)「しんぶん赤旗」

医学部定員削減やめよ

医師確保へ住民と運動


 医師不足の大きな原因は、医師の増加が医療費増大につながるため、政府が一九八〇年代以降、医学部の定員を削減するなど医師の養成を抑制してきたためです。

12万人も不足

 二〇〇四年からは臨床研修制度の義務化で、新人医師が地方の大学病院より都市部の病院を選ぶようになり、地方の医師不足に拍車をかけています。

 日本の医師数は人口比でOECD(経済協力開発機構)加盟三十カ国中二十七位で、加盟国平均に比べて十二万人も不足しています。

 厚生労働省はこれまで「地域や診療科によって偏在しており、医師は過剰」としていましたが、昨年八月、医師不足が深刻な十県の大学医学部の定員増を打ち出さざるをえなくなっています。

 日本医労連は、医師不足打開へ「五つの提言」を発表しています。医学部の定数を最高時(一九八一年の八千三百六十人)まで増やすことや、地域の救急体制の整備・拡充をおこない、産科や小児科などの集約をやめること、労基法を守った勤務条件になるよう緊急対策をとること―を求めています。

県が補助事業

 日本医労連と自治労連は、住民と共同して地域医療を守ろうと運動し、医師確保対策が予算化されるなど成果をあげています。

 病床百床あたりの医師数が、全国四十三位と大きく遅れている青森県。

 県労連と県医労連、自治労連県本部は昨年一月から二月にかけて三十八自治体を訪問し、首長や担当者と懇談。「診療報酬引き下げで経営が苦しい」「医師確保に県のリーダーシップが不可欠」など出された声をもとに、県に「医師需給計画」の策定を求める陳情書を提出し、交渉しました。

 県に需給計画の策定を求める陳情書は、十九自治体で採択されるなど県政の争点になり、〇六年度から弘前大医学部入学生への就学資金貸与や県下自治体の医師確保対策への補助事業がスタートしています。〇七年度からは、研修医を指導する医師の負担軽減のため「医療秘書」を配置する事業が新たに実施されています。

 青森自治労連は「実態を調べ、政治の争点にしたのが力になった。しかし、実態から見ればまだまだ不十分」として、県に医師確保の需給計画策定や自治体病院の再編成計画の見直しを求め、国に対しても医療費抑制政策の転換を求めて運動を続けています。


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