2007年4月28日(土)「しんぶん赤旗」

主張

教育3法

国家が子どもを踏みつぶす


 衆議院教育再生特別委員会で審議中の教育三法案は、昨年十二月に自民、公明両党が強行成立させた改悪教育基本法の具体化をはかるためのものです。

憲法の原則に反する

 教育とは、子どもとの信頼関係を基礎とした文化的営みです。教育への国家統制の具体化は、教育の条理に反するものであり、国民の思想・良心の自由を保障し、教育の自主性を保障した日本国憲法の原則と相いれません。

 昨年の教育基本法の論戦では、日本共産党の追及に、政府も、「憲法上、教育内容への国家の関与はできるだけ抑制的に」と認めています。

 教育三法案は、「学校教育法の改正」で、義務教育の目標に「国と郷土を愛する態度」などを加え、子どもたちに特定の価値観をおしつける。「教員免許法・教育公務員特例法の改正」で、教員免許状に十年の有効期限をつける。「地方教育行政法の改正」で国の地方への権限をつよめ、私学の自主性を侵害する―。こうした具体化が、「国の権限は強まらない」どころか、国家統制につながることは明らかです。

 二十六日の特別委員会では参考人質疑がおこなわれ、四人の専門家がおもに教員免許更新制について意見をのべました。免許更新制は、十年の有効期間を定め、三十時間の講習終了を免許更新の条件としています。

 野党推薦の参考人がのべたように教員の身分は不安定になり、免許失効の不安にさらされ、自らを多忙へと追い込んでいくことになります。

 国の主導による免許更新講習や研修は教員に必要な資質・能力の画一化につながる懸念が出されています。与党推薦の参考人も「講習が国主導で画一的ということになると、自主性、自律性がおかしくなる」とのべました。自主性、自律性は教師の専門職としての命です。教師の専門性には「自主性をつつみこんでいる」(与党推薦の参考人)といいます。

 研修の量は増えても、自主的な研修、学び合いの機会が減少すれば専門職としての教師の質の低下につながりかねません。「教師への信頼は具体的な教育実践と地域や保護者との交流で獲得されるべきもの」であり、免許更新で信頼は得られないという、参考人の意見に耳を傾ける必要があります。

 いまでも教員は授業の準備に十分な時間がとれず、子どもたちと向き合う時間がとれないほどに多忙だと、政府も認めざるを得ません。免許更新制の導入で、教師から子どもたちとの交流の時間をさらに奪うことになるなら、国家が子どもの学ぶ権利をふみつぶすことになります。

 学校現場がかかえる学力やいじめの問題、教師の多忙化を解決する有効な方法はあります。三十人以下学級の実施をはじめ、国際的にみても遅れている教育条件を抜本的に整備することです。

 政府がやるべきは、教育現場から批判があがっている改悪教育基本法の具体化をはかることではなく、OECD(経済協力開発機構)参加国最下位の教育予算を抜本的に引き上げることです。

国家統制の具体化廃案に

 改悪教育基本法は成立した直後の昨年十二月二十二日に公布・施行されましたが、実効性は教育三法に委ねられています。教育三法案を廃案にして、改悪教育基本法の具体化を阻止しましょう。

 子どもの未来のために、教育の自由と自主性を保障した憲法に依拠したたたかいを広げるときです。



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