2007年4月22日(日)「しんぶん赤旗」

改憲手続き法案

慎重審議を 最低投票率設けよ

地方紙の批判 つづく


 九条改憲の条件づくりとなる改憲手続き法案に対して、地方紙では引き続き批判の社説が掲載されています。

 与党による衆院の強行採決について、「本来なら白紙還元するのが筋だ」(デーリー東北十七日付)「採決は見切り発車といっていい。極めて遺憾だ」(福井新聞十六日付)など、批判があいついでいます。その原因として、「福井」は「同法案の今国会成立を『改憲への一里塚』ととらえるかのような安倍晋三首相の前のめり姿勢」をあげています。

 各紙とも、「参院は時間をかけて慎重に審議すべきだ。大きな問題が残ればつくり直す必要がある。それほど重要な法案である」(東奥日報十五日付)「『良識の府』を自任する参院の対応をじっくり注目したい」(デーリー東北)「衆院に対し抑制・均衡・補完を旨とする参院が、良識と独自性を発揮するしかない」(「福井」)などと、慎重審議を求めているのも特徴です。

賛成2割だけで

 法案の内容でも「改憲の発議には、衆参両院のそれぞれ三分の二以上の賛成という高いハードルが憲法で定められているのに、国民投票に最低投票率を組み込んでいないのは、いかにもちぐはぐだ」(デーリー東北)「投票率が四割以下なら国民の二割が賛成するだけでいい。国の最高法規がこんなに変えやすくていいか、最低投票率の規定を設けるべきだ」(東奥日報)など、最低投票率の設定を求める声があいついでいます。「福井」は、「法案内容は十分な審議を尽くしたとはとてもいえない。問題点の検討を先送りするような『付則』が何カ所もあることが、それを物語っている」と批判しています。

国民世論に注目

 同時に、九条改憲に反対する国民世論の増大に注目する社説も特徴的です。

 共同通信社の全国世論調査(十四、十五日実施)で、九条について「改正する必要があるとは思わない」が44・5%と、「改正する必要がある」の26%を大きく上回りました。

 この結果を受けて、「信濃毎日」十九日付は「九条堅持の民意は明白」との社説を掲げ、「憲法の平和の理念は、揺るがしてはいけない―。国民の意思は明快である」と指摘。「そこで問題になるのが、憲法改正の手続きを定める国民投票法案だ」として、「関連する項目ごと」に賛否を問う方式では「政治の思惑が入り込む余地がある。このまま可決・成立へと進むのは問題が大きい」と批判しています。

 琉球新報十八日付も「改憲の焦点となっている九条については改正に否定的で、現状維持を求める声が強い」として、二年前の調査と比べて「九条の改正派が減少し、維持派が増えている」ことに注目しています。そして、「世論調査の結果は、タカ派的姿勢の安倍首相に対する国民の懸念の表れではないか」「再び戦争のできる国にすることだけは願い下げだ」と結んでいます。



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