2007年4月20日(金)「しんぶん赤旗」
夕張問題を悪用した宣伝
狙いは福祉破壊の合理化
いっせい地方選挙では、各地で自民・公明・民主などの「オール与党」が「第二の夕張にしないために、行財政改革を」などと、さかんに宣伝しています。
これは、自治体の財政難への不安につけこんで、暮らし・福祉を充実してほしいという住民の願いを抑え込み、「オール与党」で進めてきた暮らし・福祉破壊を合理化することが狙いです。
夕張市財政が破たんした原因は、炭鉱閉山とその後処理に多額の市財政投入を余儀なくされたことにあります。夕張市の観光開発のゆきすぎという問題もありました。それに追い打ちをかけたのが、自公政権による国からの交付金などの大幅削減でした。石炭産業打ち切りの国策が招いた結果であり、福祉を充実して財政破たんしたわけではありません。
財政難で大変だというなら、なぜそうなっているのか、誰が、どんな無駄づかいをしてきたのかをよくみることが大切です。
三井三池炭鉱の閉山から十年。三井の城下町、福岡県大牟田市の場合はどうでしょうか。ここでも、自民党などの「オール与党」は、「第二の夕張にするな」などと、「行財政改革」の大合唱です。
しかし、大牟田市の財政を圧迫してきたのは、「オール与党」が支えてきた三井いいなりの市政運営です。市は、これまでに三井の土地を二百億円の税金を使って買い上げ、その土地に無駄なテーマパーク施設をつくり、その失敗の穴埋めに毎年三億円もの税金投入を続けています。
その一方で、ゴミの有料化や下水道料金値上げ、お年寄りへの宅配給食を廃止しました。
「オール与党」にくみせず、税金の無駄づかいをチェックしてきた日本共産党は、「市内四つ目の高速道インターチェンジ建設をやめて、特養ホーム建設や子育て支援を」と、財政再建と福祉を両立させる道を訴えています。
青森県黒石市では、テレビで「夕張予備軍」などと報じられました。
黒石市の日本共産党は、不要不急のハコ物施設の開発事業こそ財政難の原因だと告発。「お金がなくてもやれることがある」として、国民健康保険証の取り上げをやめる、子ども医療費の窓口負担をなくす、正規雇用を増やす取り組み―などを訴えています。
無駄な大型開発を見直せば、財源を生み出すことができます。各地の日本共産党は、大型開発を温存しながら福祉を削る「逆立ち」を転換し、自治体に「福祉の心を」と奮闘しています。「第二の夕張にするな」キャンペーンは、それを妨げ、逆立ちした政治を住民に押し付けようとするものでしかありません。

