2007年4月20日(金)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

最低投票率拒否

ご都合主義の憲法解釈

改憲手続き法案

法案提出者「法制局に聞いて」

仁比議員が追及


 十九日の参院憲法調査特別委員会で、日本共産党の仁比聡平議員は、改憲手続き法案の提出者が、最低投票率を拒否している理屈を崩し、法案が改憲派に都合のよい反民主的な内容だということを明らかにしました。


写真

(写真)仁比聡平議員(右端)の質問で提出者が一時答弁不能となり、協議する与党議員=19日、参院憲法調査特別委

 仁比氏が提起したのは、与党提出者が、法案に、憲法九六条に書かれていない改憲発議にかかわる「両院協議会」を組みこんでおきながら、最低投票率の導入について「憲法九六条に書かれていない」などと拒否している問題です。

 九六条には、「憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し…」と書いてあります。

 仁比氏が、「九六条が両院協議会を定めていない趣旨をどう考えているのか」とただすと、提出者の保岡興治衆院議員(自民党)は事務方と相談しながら答弁。質問にはまともに答えず、「両院協議会の設置は、九六条の趣旨に反しない」などと述べました。

 仁比氏は、「九六条が『各議院の』としているのは重たい意味がある。改憲問題では、両院は対等であり、それだけ発議が厳格だということだ。一方の院で改憲原案が否決されたら、発議できないと考えるのが素直だ」と指摘しました。

 しかし、保岡氏は、両院協議会は、改憲原案について衆参の議決が異なった場合の「最後の努力を尽くす場だ」と述べ、なんとしても改憲発議を強行する意図から設けられたものであることを明らかにしました。

 仁比氏が両院協議会設置についての憲法上の根拠をただすと次のようなやりとりになりました。

 保岡氏 明文上の規定だけが、憲法解釈の根拠になるわけではない。制度の趣旨などいろいろな状況を判断、考慮して、決めるものであって、憲法の明文にないから、(根拠は)ないと断言できるものでない。

 仁比氏 それならなぜ最低投票率はだめだというのか。おかしいではないか。

 保岡氏 憲法に明文がないからだけをもって、最低投票率をつけなかったのではない。専門技術的なことは法制局に聞いていただけるとありがたい。

 仁比氏 結局、一方では法案のなかに九六条に書いていない両院協議会をとりこみながら、一方では、憲法に書いていないということを理由の一つとして最低投票率の導入を拒んでいる。明確な答弁がないなら、これ以上質問できない。

 審議が一時中断し、保岡氏はしばらく事務方と相談を続けました。

 結局、法案は、改憲案を通しやすくするという意図に貫かれているということです。仁比氏は、「ご都合主義だ」と批判しました。

 仁比氏は、「いま問題になっているのは、国民投票で、ほんのわずかの有権者の賛成のみで、憲法改正が実現しうることが、国民の総意を組み尽くした承認だといえるのかという問題だ」と指摘。朝日新聞(十七日付)の世論調査で八割の人が改憲国民投票では「投票率が一定の水準を上回る必要がある」と答えていることを紹介し、国民の声を示しました。

 仁比氏は、提出者が最低投票率の導入を「憲法違反の疑いがある」などとして拒否しているのは、「まさに重大な憲法問題だ」と強調しました。



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