2007年4月16日(月)「しんぶん赤旗」

イラク爆弾テロ

「掃討作戦」後3割増

米軍撤退要求 首相所属政党も


 【カイロ=松本眞志】米軍とイラク軍が、「法の執行作戦」と称する武装集団「掃討作戦」を二月十四日に開始してから二カ月が経過しました。作戦は功を奏するどころか、爆弾テロはエスカレートし、市民の犠牲者が増大。米軍撤退を求める声がこれまで以上に広がっています。


 米・イラク軍は、ブッシュ米政権の米軍増派を盛り込んだ新イラク政策に基づき、首都バグダッドやアンバル州で八万人規模の兵力を動員した軍事作戦を展開してきました。バグダッドでは作戦区域を細分し軍事拠点を設けて家宅捜査を強化し、市民生活を困難にしてきました。

 イスラム教シーア派武装集団のマハディ軍も摘発の対象となり、多くがバグダッドを退去しました。結果として、宗派間抗争が減少したなどと一部では報じられています。

地方で増える

 しかし、イラク全体ではむしろ暴力やテロは増大する傾向にあります。米国防総省のバーベロ地域作戦部長は三月の記者会見で、武装集団掃討作戦の結果、爆弾テロが三割増加したと認めました。イラク政府も四月一日に三月期のイラク人犠牲者が二月よりも15%多い二千七十八人に達したと報告しています。

 現在のテロの特徴は、国際テロ組織アルカイダとイラク国内の一部武装集団が融合して勢力を増し、バグダッドだけでなく地方で爆弾テロを増大させていることだといわれます。その手口は、一部で有毒塩素ガスや大量のTNT火薬を使用するなど、アルカイダの特色が指摘されています。

 テロの対象は、十二日の国民議会の建物での爆弾テロに示されたように、安全とされてきたバグダッド中心部の「グリーンゾーン」内の政府中枢に及び、マリキ政権を揺るがす新たな段階に入っています。

サウジ国王も

 武装集団やテロリストの国外からの流入は、米軍の存在が呼び水となっていることが、これまでも指摘されてきました。このため、米国内や中東地域、イラク国内では、これまで以上に米軍撤退の声が広がっています。

 中東の親米国とみられてきたサウジアラビアのアブドラ国王は、三月の同国開催のアラブ連盟首脳会議で、米軍主導の多国籍軍のイラク駐留を「不法占領」だと異例の批判を行い、ブッシュ政権に衝撃を与えました。

 旧フセイン政権崩壊四周年目の四月九日、イラク南部の都市ナジャフで数十万人規模の反占領デモが行われ、参加者は「米国はイラクから出て行け」と訴えました。

 政権内での撤退要求はスンニ派中心でしたが、いまではシーア派のマリキ首相の所属政党(ダアワ党)からも出るようになっています。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp