2007年4月13日(金)「しんぶん赤旗」

「従軍慰安婦」米議会報告

「安倍首相矛盾」と批判

拉致問題での主張疑われる


 【ワシントン=山崎伸治】米議会調査局の報告書が、安倍首相や日本政府が元「従軍慰安婦」におわびを表明した一九九三年の河野官房長官談話を継承すると言いながら、「強制はなかった」と主張していることは「本質的に矛盾している」と批判していることがわかりました。本紙が十二日までに入手した報告書「日本軍の『慰安婦』制度」で明らかになったものです。


 報告書は、この問題が焦点となった今年三月の安倍首相の一連の発言について、河野談話を再確認したものもあれば、その内容と矛盾するものもあると指摘。矛盾の事例として、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とする三月十六日に閣議決定した答弁書をあげています。

 また安倍首相が三月二十六日の国会質疑(日本共産党の吉川春子議員の質問)で、元「慰安婦」の人たちの証言の信頼性を問われたのに対して、答弁しなかったことを紹介。証言の信頼性を否定することは、日本人拉致問題で日本の主張を危うくすると指摘し、「百人を超える元慰安婦の証言を否定することで、日本政府は、北朝鮮が日本国民を誘拐したという主張の信頼性に第三者が疑問を抱きかねない状況に自らを置いている」と述べています。

 この問題では、安倍首相の「慰安婦」と拉致問題への対応を「二枚舌」と批判した米紙ワシントン・ポストの社説を紹介しています。

 さらに「暴力的で強制的な(慰安婦)募集の証拠はない」と主張することは、七人の日本軍将校らに対し「オランダ人その他の女性に売春を強制し、レイプした」として死刑を含む有罪判決を下した「オランダ戦犯裁判」を無視することになると指摘。それは「戦争犯罪法廷の裁判を受諾」するとしたサンフランシスコ平和条約に違反するとしています。

 米議会調査局は議会図書館の一部で、議員に審議のための情報を提供する調査・研究機関です。今回の報告書は今月三日に発表されました。



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