2007年4月13日(金)「しんぶん赤旗」

主張

手続き法案採決強行

憲法破壊の暴挙認められない


 自民、公明両党が衆院憲法特別委員会で、日本共産党などが強く抗議するなか、改憲手続き法案の採決を強行し、与党だけの賛成で可決しました。与党は十三日の本会議で衆院を通過させ、参院で法案を成立させる構えです。

 国の基本にかかわる憲法の改定に直結する法案を、十分な審議もなしに採決したのは民主主義破壊のきわみであり、絶対に許せません。

何重にも暴挙重ね

 憲法九六条は「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」としています。

 国会議員の三分の二が一致して発議したうえ、国民の過半数が投票で承認するほどに広範な国民の合意と納得があってはじめて、憲法に手をつけることは許されるのです。

 改憲手続き法は改憲のための発議や国民投票の手順、仕組みを具体化するものです。憲法改正に厳密な手続きと国民の同意を求めた九六条にてらしても、国民の合意と納得なしに手続き法を決めるなどあってはならないことです。

 五日の中央公聴会には百二十四人が公述人に応募し、そのうち百八人は自公の案にも、民主の案にも反対でした。これほど多数の国民が国会にたいして異論をのべているのに、それをすべて切り捨て、審議は打ち切られました。

 マスメディアなどの世論調査でも、国民の多くが「審議は尽くされていない」と考え、九割が「今国会で成立させるべきではない」といっています。国民の合意なしに、与党が多数の力で改憲手続き法案の審議を打ち切り、強行するというやり方は、もともと憲法が想定していないほどに異常な事態です。

 改憲手続き法は、国民の多数が「憲法のこの点をこう改めよう」と合意したときに、初めて必要になるものです。いま、改憲派がねらう九条改憲には、そうした国民の合意はありません。最近の世論調査では焦点となる九条「改正」には反対・不要とする意見が56%を占めました(「読売」六日付)。

 九条を壊すことは、海外に派兵された自衛隊を「軍」として公認し、その武力行使にお墨付きを与えることです。日本を「海外で戦争する国」につくりかえることなど、国民のだれも望んでいません。国民が望まぬ九条改憲のために、国民が「待った」をかけている改憲手続き法案を押し付けるやり方ほど、国民を踏みつけにするものはありません。

 改憲手続き法の強行採決は、改憲の真のねらいが見透かされないうちに、国民を九条改憲へのエスカレーターに無理やり乗せようとする改憲勢力の姿を浮き彫りにしています。

歴史の歯車逆行させるな

 安倍晋三首相は、自分の政権で改憲をするといい、憲法九条を「時代にそぐわない」といいきりました。

 戦前の軍国主義・日本に郷愁を寄せ、過去の侵略戦争を美化しつづける首相の言動に内外の批判が集中しています。こうした勢力が、九条改憲のために、改憲へのハードルを最大限低くした不公正、非民主的な手続き法案を無理やり通そうとしていることの危険性は明らかです。

 憲法九条守れの声を広げるのと一体に、改憲手続き法を許さぬたたかいを強め、必ず廃案に追い込みましょう。



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