2007年4月12日(木)「しんぶん赤旗」

企業減税の額はどれくらい?


 〈問い〉 大企業・大資産家への減税額について、以前は「1兆円規模」といっていたのが、志位委員長の予算委員会の質問では「1兆7000億円」となっていましたが、なぜですか?(兵庫・一読者)

 〈答え〉 これは未発表だった政府のデータが最近発表されたことによるものです。

 まず、企業減税については、減価償却制度の見直しによる減税額ですが、1月19日に閣議決定された政府の要綱によれば、平年度ベースの減税額は5110億円となっています。ただし、これは国税の法人税だけで、地方税を含めると7361億円となります。

 もう一つの大資産家への減税は、証券優遇税制の1年延長ですが、この減税規模について政府は「単なる延長で制度の新設ではない」とか「1年も先の株価は予想できないから試算できない」などといって、なかなか減税見積もり額を示しませんでした。このため、2003年に、この優遇税制が創設された時の政府の減税見積もり額(1470億円)と、その後、株式配当や譲渡所得が3倍くらいに増えていることから、4000億円程度の減税は確実であると推計しました。志位委員長の代表質問では、前述の大企業減税とあわせて「1兆円規模」と指摘したのです。

 その後、証券優遇税制については、06年度補正予算の税収見積もりのデータが公表されました。この見積もりに記載されている数字をもとに推計すると、この時点での減税額が1兆円近い減税額になっていることが判明しました。政府は、07年度も06年度補正後と横並びの税収を見積もっており、07年度も1兆円規模の減税が続きます。株価その他の条件が変化しなければ、優遇税制が延長された08年度も、この減税が続くことになります。

 この証券優遇税制と、前述の減価償却制度の見直しをあわせると、約1兆7000億円の減税という計算です。そこで、志位委員長の予算委員会の質問では、この数字をあげました。

 証券優遇税制については、政府も大門実紀史参議院議員の質問に対して、源泉徴収分だけでも7500億円の減税となることを認めました(3月12日)。政府が試算していない「申告分」を含めると、1兆円近い額になることは明らかです。

 1兆7000億円の減税というのは、まさに、庶民から吸い上げる定率減税廃止分を、そっくりそのまま大企業と大資産家にばらまくということになります。

 この新しく判明した数字を使って、おおいに宣伝していく必要があると思っています。(垣)

 〔2007・4・12(木)〕


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