2007年4月12日(木)「しんぶん赤旗」

シリーズ 人間らしくたたかい生きる

所得260万 国保料など100万

大阪・守口


 年所得二百六十万円の世帯で国民健康保険料など保険負担が百万円近くにもなる―。病気や働けなくなったときに欠かせない公的保険が人々の生存権を脅かしています。国保料が大阪府内トップクラスの高さの守口市に実態を見ました。(竹田捷英)


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 同市でクリーニング業を営む五十代のAさんは国保料の納付が困難になり、最近、守口民主商工会に相談しました。アドバイスを受け、分納することにしました。

 「やりくりに少しゆとりがでて、本当に助かっています」。Aさんの妻はほっとした様子です。

 Aさん夫妻は、母親、子ども二人の五人家族。昨年の国保料は年額五十三万円(法定限度額いっぱい)で、年間所得二百六十万円の二割にあたります。これに、介護保険料約八万円、国民年金保険料三十三万円を合わせると百万円近く、所得の四割にのぼります。残り百六十六万円、月にすると十万円ちょっとです。

 Aさんの妻は「ほかに住民税、子どもの教育ローンや諸経費の支払いもあります。どうやって生活していけというのでしょうか」といいます。

 高い国保料のため同市の国保加入世帯三万四千百八十八世帯のうち27%にあたる九千百五十世帯が滞納しています。全国の滞納世帯平均の19%を大きく上回っています。

 「高くて払いたくても払えない」と市民が減免や免除などを求め、市保険課窓口に年中、相談に訪れています。その数は二〇〇五年度で月平均三千八百人近く、年間四万五千人となっています。

 守口民商の小橋信三事務局長は「人口十五万の町で三人に一人弱、国保加入世帯数を上回る人が窓口にいった勘定になります。市民がいかに苦しんでいるかのあらわれです」といいます。

 高額の国保保険料は、政府が一九八四年に法改悪をして国保への国庫負担の比率を下げたことが引き金になっています。国庫支出比率は49・8%から34・5%に下がりました。多くの市町村は、このしわよせを加入者住民に押しつけました。

 加えて、国は滞納者にたいし国保証の取り上げを義務付け、全国で三十五万世帯が国保証を取り上げられています。代わりに交付される資格証明書では、窓口でいったん医療費の全額を支払わなくてはなりません。病院にかかるのを控え、手遅れで亡くなる事例が全国で多発しています。

 国保証のとりあげが起きないように民商や医療生協、市職労などでつくる守口社保協は市や議会に要請しました。

 日本共産党守口市議団(四人)は、市民の相談を受け、国保料の減免や分納の実現に尽力してきました。こうした取り組みもあって、同市の資格証明書交付数は百十三件にとどまっています。

市議選で争点 共産党、軽減求める

 十五日告示される市議選で、国保問題は大きな争点となっています。

 守口社保協は、三月議会に「市民税、国民健康保険料の負担増加に対し独自軽減策を求める請願書」を提出しました。

 これに、自民、民主、公明、社民各党の議員が反対し、不採択にしました。賛成したのは日本共産党市議団だけでした。

 党市議団は、保険料の引き下げ、保険料の軽減や免除制度の拡充、窓口での親切な対応と対策を求め、「加入者に保険証がゆき届き、安心して医者にかかれるようにしよう」と訴えています。



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