2007年4月3日(火)「しんぶん赤旗」

地球温暖化

100万人単位の飢餓も

政府間パネル部会報告案 各国に対策迫る


 【パリ=浅田信幸】国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第二作業部会が二日、ブリュッセルで始まりました。気候変動の「影響、適応、脆弱(ぜいじゃく)性」に関する科学的知見を集約し、報告書をまとめるとともに、「政策決定者向け要約」を六日、発表します。

 第二作業部会は気候変動が人々の健康や農業生産、水の確保など、さまざまな部門と地域に及ぼす影響を評価するもの。

 地球温暖化が疑いない事実であり、人間の活動に主要な原因があることを科学的に断定した二月発表の第一作業部会の報告とともに、各国政府に警告を発し、対策を迫る内容となります。

 報道によれば報告案は、温暖化により大型の台風やハリケーンが頻発し、降雨、洪水、熱波、乾燥が増大すると予想。現在の気温上昇傾向が変わらずに続くと、二〇三〇年代には世界で最も標高の高いヒマラヤの氷河の八割が消滅するとしています。

 サハラ砂漠以南のアフリカとアジアでは、乾燥と暑さで農業生産が低下し、水の確保が困難になり、それぞれ百万人単位で飢餓に直面。また気温が二度ないし四・五度上昇(一九九〇年比)すると、八〇年までに全世界で十億―三十二億人が水不足に苦しむと指摘しています。

 影響を受けるのは人々の生活だけではありません。一・五―二・五度の気温上昇で生物種の20―30%が絶滅の恐れがあるとし、生物多様性にも重大な否定的影響を及ぼすと予想しています。

 国連環境計画(UNEP)のシュタイナー事務局長は、「転換点を越えた」「もはや(気候変動が)起きるかどうかではなく、どう対処するかが問題だ」とメディアに語っています。

 一九八八年に設立されたIPCCは、科学的知見を評価し、政策決定者に提示する役割をもち、三つの作業部会からなります。今年は、九〇年、九五年、二〇〇一年に続く第四次報告が発表されます。第二作業部会の後、五月にバンコク(タイ)で第三作業部会の報告が発表され、十一月バレンシア(スペイン)で、三部からなる第四次報告の全体が採択される予定です。



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