2007年4月1日(日)「しんぶん赤旗」

学力テスト このままでいいか

“序列化に拍車”

保護者らシンポ


 緊急シンポジウム「このままでいいのか全国学力テスト」が三十一日、東京都内で開かれました。学力テストへの不参加を決めた愛知県犬山市の教育委員長が「市議会で十六人の議員が連名で学力テストに参加すべきだと提起したが、『教委の独自性を考えると、政治が介入すべきではない』とはね返した」と会場から発言して注目を集めました。全国一斉学力テストの実施が四月二十四日にせまる中、保護者や教職員、学生など百八十人が参加しました。

 パネリストとして四人が発言。犬山市教育委員の中嶋哲彦・名古屋大教授は「全国学力テストは、児童・生徒と家族の個人情報の収集そのものだ」と批判。学校選択の基準や教員評価に利用しようとしている政府の意図を示し、「単なる学力診断テストでなく、教育制度全体を大きく変えていくパーツ(部品)になるのではないか」と訴えました。

 国際基督教大の藤田英典教授は「すでに社会的なモラルハザード(倫理の崩壊)が起こっている」として、不動産業界が偏差値が高い学校区を広告の中で強調していることなどを指摘。「学力で序列をつけるのが当然という風潮が広まっている。その動きに拍車をかけるのが学力テストだ」と批判しました。

 京都大の松下佳代教授は「短絡的な学校評価につながってしまい、テストのためのカリキュラムや学習指導に陥りやすくなる」と警告しました。

 東京大の苅谷剛彦教授は「学力低下は訴えてきたが、全国一律の学力テストには反対してきた」と述べ、政府の教育再生会議が進める教育の「新自由主義改革」を批判しました。



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