2007年3月30日(金)「しんぶん赤旗」

9条改定ではアジアから孤立

“米戦略にも支障”

米政治学者 フランシス・フクヤマ氏


 【ロンドン=岡崎衆史】米国の政治学者、フランシス・フクヤマ氏(ジョンズ・ホプキンス大学教授)は、英ガーディアン紙二十六日付に寄稿し、国家主義(ナショナリズム)の高まりや侵略戦争への無反省と連動した日本の憲法九条改定の動きに警戒感を示しました。

 同氏は、イラク攻撃をあおったネオコン(新保守主義)派の代表的論客の一人でしたが、イラク戦争の破たんに直面するとネオコン離脱を表明した人物です。とはいえ、先制攻撃論を含め米国の戦争を支持する立場は変わらず、この論評もその立場からのものです。

 同氏は、日本の九条改定は新たな国家主義の高まりとみなされ、日本をアジア全体から孤立させると指摘。それは、日米同盟を延長させ、北大西洋条約機構(NATO)型の軍事同盟で中国を包囲しようという米国の戦略を「困難」に陥れているとしています。

 その上で、安倍首相が九条改定を「前に進めるかどうかは米国の助言に大きく依存している」とし、憲法問題でのブッシュ政権の対応の見直しを迫っています。

 寄稿のタイトルは「責任の問題 右翼国家主義者が支配権を握れば、日本の再軍備は他のアジア諸国に受け入れられない」。靖国参拝を繰り返した小泉前首相による国家主義の正当化や、安倍首相による日本の過去の戦争犯罪への謝罪拒否などに触れ、「日本はドイツと異なり、太平洋戦争での自らの責任に向き合ってこなかった」と指摘しています。

 こうした日本の過去に対する無反省と近年の新しい国家主義の高まりが、「日本の再武装を後押しし、憲法九条の改定提案を公式に支持してきた」米国を、「困難な位置に置いている」と分析しています。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp