2007年3月30日(金)「しんぶん赤旗」

「従軍慰安婦」問題

自民公約から消えた“反省”


 いま安倍内閣の姿勢が国際批判を浴びている「従軍慰安婦」問題は、いっせい地方選で有権者が関心を向けている問題の一つです。自民党は三回前、一九九五年のいっせい地方選向け公約のなかで、「従軍慰安婦」問題は「避けて通れない重要な政治課題」とし、「女性を尊重する強い意思を国の内外に表すことにしています」と盛り込んでいました。

 九五年は戦後五十周年の年でした。自民党の「第十三回統一地方選挙『わが党の公約』」は、アジア太平洋の近隣諸国や日本の国民の認識として「二度と戦争の惨禍を繰り返さないためには(中略)過去の行為から目を背けることなく、次の世代に対しても戦争の悲惨さと、そこに幾多の尊い犠牲があったことを語り継ぎ、常に世界の恒久平和に向けて努力していかねばなりません」と述べていました。

 同公約は「従軍慰安婦」問題にも触れて「いわゆる従軍慰安婦問題については、国民参加による『女性のためのアジア平和友好基金(仮称)』を創設することで、わが国としては、女性を尊重する強い意思を国の内外に表すことにしています」と明記。「従軍慰安婦」問題など戦後五十年問題を「日本がこれから将来、特にアジア・太平洋地域との連帯をさらに強めていくためにも避けて通れない重要な政治課題です」と位置付けていました。

 安倍晋三内閣の下での今回のいっせい地方選向け自民党公約では、戦争への反省や「従軍慰安婦」問題への言及はまったく姿を消しました。

 代わって公約で突出してきたのは「防衛」と「改憲」。防衛問題では十二年前の「節度ある防衛力の整備」が今回公約で「防衛体制の強化」に変わりました。九〇年代三回の、いっせい地方選を通じて掲げられなかった改憲公約は四年前のいっせい地方選から登場。今回は「憲法改正手続法案の早期成立を実現、憲法改正に向けて国民的論議を喚起」として改憲へ向け具体的な一歩を踏み込む内容をかかげました。



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