2007年3月29日(木)「しんぶん赤旗」

主張

改憲手続き法案

9条守れの世論総括結集して


 いっせい地方選挙のさなか、九条改憲に直結する改憲手続き法案をめぐり、国会が緊迫しています。

 自民・公明両党は二十七日、同法案「修正」案を与党単独で提出しました。衆院憲法調査特別委は「修正」案の趣旨説明を二十九日に行い、同じ日にすぐ質疑を開始するという日程を、日本共産党の反対を押し切り、自公と民主の合意で決めました。今国会での手続き法成立をねらい、改憲派の動きが急加速しています。

改憲に有利な仕組み

 日本国憲法は、改憲について(1)発議は衆参両院の三分の二の多数の賛成がなければできない(2)そのうえ国民投票で過半数の賛成を得なければならない―と、他の法律の改廃よりも厳しいハードルを設けています。手続き法案は、そのための手続きを定め、九条改憲を押し通す前提条件をつくるものです。

 与党「修正」案は▽最低投票率の規定がなく、有権者の一割―二割台の少数の賛成で改憲が成立しかねない▽公務員など国民の運動に規制をかける▽改憲勢力に圧倒的に有利な有料広告▽改憲推進政党主導の広報など、改憲を通しやすくする仕組みをつくるねらいが明白です。改憲原案作成を目的とする憲法審査会の設置も盛り込んでいます。

 これまで与党は、改憲発議のさいに民主党を引き入れるねらいから、手続き法を自公プラス民主の三党の枠組みで共同修正して成立させることをめざしてきました。今回提出された与党「修正」案は、三党の協議で合意された内容を踏まえながら、自民党内の右翼・改憲勢力にも配慮したものです。不公正で反民主的なことはもともとの与党案でも「修正」案でも変わりません。

 根っからの改憲派である安倍晋三首相は戦後レジーム(体制)の転換をかかげ、戦後日本が侵略戦争への反省の上に打ちたてた戦争放棄の条項である九条をはじめ、改憲のねらいをあからさまにしています。改憲手続き法は文字通り改憲に直結するものであり、「中立的なルールづくりだ」などという言い訳はどこからみても通用しません。

 自民党との「対決」ポーズをとり、「共同修正」を断った民主党も、党内には法案自体に「反対はできない」という議員が多く、手続き法に明確な態度を打ち出せません。憲法改定という国の基本問題で自民と民主は同じ流れに立っているからです。

 安倍晋三首相は、「従軍慰安婦」をめぐる「強制」否定発言で内外の厳しい批判にさらされています。このゆがんだ歴史認識は、自民と民主を横断する「靖国派」の共通の基盤です。そんな勢力が主導して、第二次世界大戦の多大な犠牲のうえに築かれた不戦の誓いをくつがえし、日本を「海外で戦争する国」にする九条改憲をすすめていることの危険性は明らかです。

廃案へ力尽くすとき

 改憲のための手続き法を拙速に決めるのを望まないという声は、世論調査でも多数を占めます。いま、廃案を求める世論と運動を大きく広げるときです。

 日本共産党は戦前・戦後を通じて反戦・平和を貫いてきた党として、九条改憲を許さぬ国民多数派の結集に全力をあげています。

 いっせい地方選前・後半戦、夏の参院選と続く一連の選挙で「九条守れ」の世論を集め、日本共産党と国民の共同の力を示すことこそ、九条破壊を許さぬ、きっぱりとした審判になります。



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